ブログ

海外標準化機関等との連携(ETSI、TAICS、Chan-Ang 大学)

1.ETSIとの意見交換会

  2025年5月12日(月)、ETSIのDirector-GeneralであるJan ELLSBERGER氏とChief Policy Officer であるMartin CHATEL氏が、3GPP PCG/OP東京会合に先立ち、TTCを来訪されました。TTCからは小生、田尻 信行事務局長、阿藤 友紀企画戦略部長、釼吉 薫標準化エキスパート、三宅 滋標準化エキスパート、新村 茂樹企画戦略部長(国際担当)が参加し、以下のとおり意見交換を行いました。

  ETSIからは、EU-日本間のパートナーシップの優先事項と主要なデジタル分野を考慮した協力の可能性のある分野、DATAに関する技術委員会(TC DATA)、標準化人材開発など、最近のETSIの活動について説明いただき、これに関する意見交換を行いました。

  TTCからは、まず釼吉標準化エキスパートが、量子技術に関連して、TTCより国内のQKDNの開発状況、QKD装置の認証の取り組みに関するプレゼンテーションを行いました。QKD装置認証の活動では、ETSI QKD-ISGが開発したProtection profile (PP EAL4)を用いた国内版PP EAL2の開発が進められています。QKDおよびPQC分野で、ETSIと日本の協力関係が引き続き必要であることを双方で確認しました。

  三宅標準化エキスパートからは、TC DATAに関連して、ISO/IEC JTC 1でのデータ関連国際規格の動向、日本国内のデータ流通に関わる施策や動向について紹介し、その後、意見交換を行ないました。

  阿藤部長からは、標準化人材育成に関して、2024年度は標準化人材に求められる役割・業務・知識/スキル等の体系的整理に取り組んだことを説明しました。今後とも相互に情報交換・連携しながら次世代人材育成にむけて検討を進めることを双方で確認しました。

ETSIとの意見交換会参加の皆様
ETSIとの意見交換会参加の皆様

2. TAICSとのMoU締結式と合同ワークショップ

    2025年5月23日(金)、台湾の標準化機関であるTAICS(Taiwan Association of Information and Communication Standards)一行がTTCを来訪し、改定MoU(Memorandum of Understanding)の締結を行うとともに、合同ワークショップを行いました。TAICSは、台湾における情報通信技術(ICT)の標準化を推進する非政府・非営利の標準化機関で2015年に設立されています。

2.1 MoU締結式

  TAICS副理事長の葉嗣平(Henry YEH)氏を迎え、改定MoUの締結式を行いました。TTCとTAICSはMoUを2016年7月に締結していましたが、今回の合同ワークショップの機会にこれを見直し、相互の関心とパートナーシップを深めるためのワークショップや会合を開催するという項目を追加しています。

  なお、TTC会員の方は、TTCホームページの国際連携AGページからMoUの閲覧が可能です。

MoU締結式の様子
MoU締結式の様子

2.2 合同ワークショップ

   合同ワークショップでは、「次世代通信産業技術~IOWNと5G O-RANの技術動向~」と題してハイブリッド形式で開催し、TTCとTAICSの双方からIOWNと O-RANに関する講演を行いました。

  IOWNについては、まずNTTの古賀 一也氏より、NTTのIOWN技術開発と標準化活動についてご講演いただき、続いて中華電信の顏 志恆(Jhih-Heng YAN)氏より、中華電信のIOWN技術開発と活動についてご講演いただきました。

  O-RANについては、KDDIの渡辺 伸吾氏より、KDDIのOpen RAN展開と標準化への取り組みについてご講演いただいた後、台湾工業研究技術院(ITRI)の邱碧貞(Pi-Chen CHIU)氏より、 ITRIの5G O-RANネットワーク標準と機会に関する展望についてご講演いただきました。

ワークショップご講演の皆様
ワークショップご講演の皆様

3.韓国 Chung-Ang University(中央大学)との意見交換会

  2025年5月23日(金)、韓国のChung-Ang大学のYongkyu LEE教授、同教授のゼミ学生の計15名がTTCを来訪しました。LEE教授との間では、昨年6月に韓国の標準化団体であるTTA(Telecommunications Technology Association)の紹介で、TTCの標準化人材育成に関するメンバが韓国Chung-Ang大学を訪問し、意見交換を行った経緯があります。LEE教授は、標準政策学科に所属しており、標準およびTBT(Technical Barrier to Trade)専門人材の育成を推進しています。

  今回の訪問では、阿藤部長が、TTCの概要およびTTCにおける標準化人材育成に関する検討状況について紹介し、その後、LEE教授およびゼミの学生と意見交換を行いました。意見交換では標準化組織構造に関して日韓に違いがあること、Chung-Ang大学においては標準化の現場で活躍しているキーマンから実際に話を聞くことができる機会があること、韓国においては最近TBTもホットトピックなってきていることなどの情報提供がありました。 ​​​​​

韓国 Chung-Ang University(中央大学)の皆様
韓国 Chung-Ang University(中央大学)の皆様