3GPP PCG/OP東京会合とSA-WGs福岡会合
3GPPのProject Coordination Group(PCG)第54回会合(PCG#54)及びOrganizational Partners(OP)第53回会合(OP#53)が、2025年5月14日~15日、電波産業会(ARIB)とTTCの共同ホストにより東京国際フォーラム(有楽町)で開催されました。PCG/OP会合は3GPPのOPである世界各国・地域の7つの標準化団体の代表、市場代表パートナー(Market Representation Partners:MRPs)、技術仕様グループ(Technical Specification Group:TSG)の正副議長およびITU等のメンバで構成されています。今回の会合には、計54名が会場参加し、日本からは10名、うちTTC事務局から田尻 信行事務局長と中村 典生部長が参加しました。
また、3GPPのSA(Service and System Aspects)-WG会合(SA-WGs)が、2025年5月19日~23日、ARIB・TTC合同3GPP会合招聘グループ(JF3)のホストにより博多国際展示場&カンファレンスセンター(福岡)で開催されました。各国から延べ1,429名が参加し、日本からは173名、うちTTC事務局から中村 典生部長が参加しました。
以下、主な議事内容を報告します。
1. PCG#54
PCGは3GPPの最高決定機関であり、会合が年2回開催されます。今回のPCG第54回会合は、第50回会合(2023年4月、ロンドン)、第52回会合(2024年4月、ワシントン)に続き、対面形式で実施されました(なお、秋の会合はオンライン形式で開催されます)。議長は、ARIBの西岡 誠治理事が務めました。
主な議事内容は以下のとおりです。
- 本年3月に行われたTSG(CT,RAN,SA)の正副議長の選挙結果が承認されました。日本からは、CT副議長に石川 寛様(NTTドコモ)が選出(再任)されました。
- 6Gに向けた仕様書作成ツール等の改善については、現在TSGにおいて行われている検討を継続することとなりました。また、3GPPとして効率性を向上させるべきとの提案が出されましたが、既に合意された大枠の作業スケジュールに基づいて今後の通常の作業の中で進めることが確認されました。
- 3GPPにおける議事をコンセンサスベースで進めることを、各会合の冒頭で改めて注意喚起することが了承されました。
- 3GPP仕様をITU-R勧告へ反映するためのスケジュールが合意されました。
- 次回PCG/OP会合を2025年11月13~14日にオンライン形式で開催することが決定されました。
2. OP#53
OPsの定期会合は、3GPPの一般的な方針および戦略を決定します。PCGに続いて開催されます。議長は、PCGと同じく、ARIBの西岡誠治理事が務めました。
主な議事内容は以下のとおりです。
- 2027年会合の開催地域の一部変更(3月のTSG会合を欧州、9月のTSG会合をインドに変更)等を本年6月のTSG会合(プラハ)で決定することが了承されました。
- 会合参加の招待状の発行時期を早めることやSA-WGsとCT-WGsを同一週・同一都市で開催する等の指針を設けることが提案されましたが、これらについてはMHPG(Meeting Hosting Planning Group)で検討することとなりました。
- 2024年決算が承認されました。2024年の余剰金のうち半分は長期基金へ充当し、半分はOPに還元されることとなり、還元分を差し引いた2025年の各OP分担金が決定しました(TTCの分担金額は約254,000ユーロ)。

3. SA-WGs
SA-WGsは、以下の課題を所掌する6つのWGが行われる会合です。
- Services, System Architecture and Services, Security and Privacy, Multimedia Codecs, Systems and Services, Management, Orchestration and Charging, Application Enablement & Critical Communication Applications
今回の会合における主な議事内容は以下のとおりです。
- 4つのWG議長と4つのWG副議長の選挙が実施されました。
- 5G Advancedに関する以下の議論が行われました。
- 2025年9月に仕様のフリーズが予定されているRel-19(5G Advancedの改定版)の作業
- 2025年6月にStage-1を完了予定のRel-20(5G Advancedの最終版)の作業
- 2025年3月に行われた6G Workshopを受けて、Rel-20の一部と位置付けられる6G研究の議論が行われました。

4. 今後の予定
3GPPの各会合は、原則として各OPがローテーションでホストを務め開催しています。日本では、来年2026年3月にTSG会合をARIBとTTCとの共同ホストで開催する予定です(開催地未定)。