TTCについて

専務理事挨拶

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一般社団法人情報通信技術委員会
 代表理事専務理事
岩田 秀行

 一般社団法人情報通信技術委員会(TTC)は、情報通信ネットワークに関わる標準を作成することにより、情報通信分野における標準化に貢献するとともに、その普及を図ることを目的に活動する民間の非営利団体です。1985年に前身となる社団法人電信電話技術委員会が設立され、以来、TTCは情報通信分野での標準化の推進とともに、その発展に貢献して参りました。

 TTCが担う標準化課題は、従来は、情報通信サービスの効率的かつ安定的な運用の確保、すなわち、ネットワーク間や、ネットワークと端末機器間等の相互接続性や、相互運用性の確保のための、ハードおよびソフト両面でのルールづくりにあります。そして、その標準化成果は、世界中の人々をつなぎ、情報伝達手段や技術の発展を支えてきました。

 現在も、情報通信は、人々がつながりあう根源的な基盤であり続けている一方で、様々な産業が、安定した情報通信を前提に経済活動を展開するようになりました。新型コロナウイルスの世界的流行は、あらゆる産業への情報通信の利活用の浸透をさらに後押ししました。企業でのテレワークの導入が進み、かつてのように社内の会議室確保に悩まされることなく、バーチャルで会議をすることが当たり前になりました。職場がバーチャルに移行したのと同様に、多くの産業で、リアルの不便さから抜け出し、抜本的な効率化や全く新しいサービスづくり等のイノベーションが進んでいます。

 TTCでは、このような社会変化に対応し、あらゆる産業で活用され経済活動を支える社会基盤となる情報通信ネットワークの将来を見据えた標準化活動に取り組んでいます。設立当初3つの部会だった標準化活動は、現在、5つの技術領域、18の専門委員会、2つのアドバイザリーグループに拡大しています。

 さらに、新たな価値の源泉を求めて、世界的に企業間での業界横断的な連携が広がる中、標準化団体もまた、業界を牽引する団体と連携していくことが企業の事業化を支援する上で不可欠になっています。TTCでは、2011年に業際イノベーション本部を設立し、ICT分野の活性化に貢献する業際的なイノベーションの課題の発掘と戦略検討を行い、新しいTTCの取り組みを創造してきたほか、専門委員会においても、関連する産業の団体や他の標準化機関との連携を進めています。2020年には、ITU-T SG16の国内対応委員会であるマルチメディア応用専門委員会のもとに、一般社団法人日本インダストリアルイメージング協会(JIIA)と、マシンビジョンSWGを新設しました。情報通信産業を中心としたTTC会員企業からは得られにくかった工業用カメラや画像処理装置・ソフト、計測・解析機器等の画像機器に関する知見を新たに得、新たな標準化テーマへの対応が可能になりました。標準化活動における国内リソースを最大限活用するため、目標を共にする団体間で連携、補完していくことは重要です。今後、このマシンビジョンに続く連携事例の強化を進めていきます。

 標準化活動の質の向上、国内リソースの拡充に向けては、TTCでは、標準化人材の育成も重要な課題として、継続的に取り組んでいます。標準化人材と聞くと、英語での国際交渉スキルや標準文書の策定スキルをまずイメージされる方が少なくないかと思います。しかし、前述の社会変化に加え、大学や研究機関での研究分野は細分化、高度化進む一方で、企業における開発・事業化サイクルは短縮されている環境下では、これまでと同じ「標準化人材」が、企業に求められる人材と適合しているのか、企業や教育機関等との対話を通じたギャップの是正が必要です。標準化人材の育成の課題は、一企業の利害だけでなく、日本の産業全体の発展の視座で捉えるべき課題です。TTCでは関連標準化団体や産学官と連携し、次世代を担う標準化も含めた総合的な「グローバル人材」の育成に貢献していきます。

 標準化を手段とした日本の国際競争力強化では、大企業に比して標準化人材の確保が難しい中小企業等への標準化支援も重要です。TTCでは、直接的な支援の他、標準化活動の経験豊富なTTC会員企業と、新興技術を梃に事業を展開するスタートアップ企業をマッチングし、シナジー効果を生み出す等、橋渡しの役割を通じた国際競争力強化に貢献していきます。

 最後に、多くの企業の皆さまから支援頂く団体として、個社での実現が難しい社会課題解決もまた使命と捉えています。マルチメディア応用専門委員会アクセシビリティSWG では、Net119の共通電文仕様、電話リレーサービスの標準化、緊急通報への接続要件、視覚障害者向けの音声ナビゲーションの標準化の活動を行っております。それらの活動は、ITU-TだけでなくWHOでも評価されています。また、BSG(標準化格差解消)専門委員会では、アジア太平洋地域での情報通信技術を利活用した社会課題解決の取り組みを行っております。日本の環境と異なる地での実証実験の機会を得ながら、現地の社会課題解決の糸口となる活動に貢献できることでの、相乗効果も得られると思います。是非、グローバル人材育成も含めて参画頂ければ幸いです。

 業界標準化団体との連携、標準化人材育成、新興企業支援、社会課題解決に向けた標準化の取り組みとハードルの高い課題ですが、会員企業の皆さまと進めて行きたいと思います。

2022年10月