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第4回TSAG会合

1.はじめに

  

  2024年7月28日(月)から8月2日(金)までITU-TのTSAG(Telecommunication Standardization Advisory Group:電気通信標準化諮問会議)の今会期第4回となる会合がジュネーブのITU本部とオンラインのハイブリッドで開催されました。本会合は、本年10月にインドで開催されるWTSA-24(世界電気通信標準化総会(WTSA)はITUでネットワーク分野の標準化を行う電気通信標準化部門(ITU-T)の総会で、4年に1度開催)に向けた会合で、今会期の最終会合になります。TSAG会合は、ITU-Tにおける全てのSG(Study Group)の標準化活動を検証するとともに、会議規則や他の標準化機関との連携に関する手続きなどの見直しを行い、今後ITU-Tが取り組むべき標準化課題の分析を基に、次会期に向けたSG体制案の検討を行います。

  本ブログでは、今回のTSAG会合の概要をご紹介しますが、TSAG全体会合の結果については、TTC国際連携アドバイザリーグループのTSAG対応タスクフォース会合で報告・審議しますので、ご関心のある方はTTCにお尋ねください。

会合の様子
会合の様子

1.概要

  今回のTSAG会合には58か国から290名(内オンライン138名)の参加者がありました。日本からは、総務省国際戦略局通信規格課の澤田和幸課長補佐を団長として、総務省、国内各社・団体(KDDI、NEC、NICT、NTT、NTTドコモ、OKI、日立、TTC)から13名の現地参加と、総務省、KDDI、KDDI総合研究所、日立、日本ITU協会から9名のリモート参加がありました。表1に全体スケジュールを示します。

表1 会合スケジュール

(*) only for TSAG Management Team, Working Party Chairs, and TSAG Rapporteurs
(**) only for ITU-T Study Group Chairs, SCV Chair and TSAG Chair
(***) session with interpretation

2.主な議論の内容

2.1 プレナリの主要トピックス

  • TSAG副議長がFang Li氏(中国)からWu Tong氏(中国)に交代、承認された。
  • 前回TSAGで議論された、”Chair”と”Chairman”のいずれを使用するかについて理事会より”Chair”を使用するよう指示する旨が報告された。
  • 10月15日~24日にニューデリー(インド)で開催されるWTSA-24の準備状況と開催期間中の各種イベントについてTSB Bilel 氏より概要の説明があった。期間中の主要なイベントは Related Events - WTSA-24 (itu.int) を参照のこと。
  • WTSA-20における58の決議(Resolution)に対する409のアクションプランの進捗状況についてTSBから報告があった(TD496)。2024年1月現在全体の6%が完了、70%が進行中、5%が検討中、20%が着手不要となっている。
  • 今会期の出席率が半分以下の副議長がリストアップ(TD659)された。(決議208(ブカレスト、2022)には、次会期の候補とすることは避けるべきと書かれている)。
  • A.勧告の改訂について、A.18 (ex A.JCA)(Joint coordination activities: Establishment and working procedures)、A.7(Focus groups: Establishment and working procedures)、A.24(Collaboration and exchange of information with other organizations)がTAP承認された。
  • 以下のAシリーズ標準の補足ドキュメントについて合意。
    • A Suppl. SGA(Guidelines for the development of a standardization gap analysis)
    • A.SupWTSAGL(WTSA preparation guideline on Resolutions)
    •  A.BN(Briefing note for WTSA ad hoc group chairs and drafting group chairs)
  • RG-SOP(Strategic and Operational Plan)の主要結果
    • 対象エンティティ別に分類された業界エンゲージメント提案アクション(TD667R1)に対し、RG-SOPが取るべきアクション案について検討。今後議論を継続。
    • TSBより、ITU戦略・財政計画をまとめた資料(TD672)について報告された。ITU戦略・財政計画の策定プロセス、ガイドライン、新しい戦略的枠組みへの展開についての情報が提供された。
    • カナダよりCWG-SFPへのTSAGインプットで考慮すべき要素(C103)について提案。多くのコメントが寄せられ、TSAGインプットの推敲のためにこれらコメントを検討することとなった。
  • 各JCA(Joint Coordination Activities)の活動報告
    • JCA on Accessibility and Human Factors (JCA-AHF)(TD544) : JCA-AHFの共同議長としてDavid Forney氏が任命され、承認された。
    • JCA on Digital COVID19 certificates(ITU-T JCA-DCC)(TD543)
    • JCA on Quantum Key Distribution Network(ITU-T JCA-QKDN)(TD545)
    • JCA on Machine Learning (JCA ML)(TD649):谷川和法SG13議長よりJCA機械学習拡張の承認要請があり了承。
    • Coordination with CITS(TD546)
  • 本会期最後のTSAGとなったため、感謝状がWP議長、ラポータに会合の最後に授与された。
感謝状授与の様子
感謝状授与の様子

2.2 WP1の主要トピックス

2.2.1 WTSA準備RG(WTSA Preparations)

  • SupWTSAGL (WTSA preparation guideline on Resolutions)についての内容が合意された。またTSAGプレナリにレポートされ承認。
  •  BN (Briefing note on how to chair WTSA Sub-committee/Ad)についてレビュー。RGセッションでは合意に至らなかったが、WP1プレナリで内容について合意しTSAGプレナリにレポートされ承認。
  • WTSAアクションプラン(TD496)の進捗状況についてプレナリで報告された。

2.2.2 作業方法 RG(Work Methods)

  • 勧告A.1(Working methods for study groups of the ITU Telecommunication Standardization Sector):合意に至らず継続審議。Info documentとしてWTSAに送る。
  •  勧告A.7(Focus groups: Establishment and working process) :前回TAP凍結したがエディトリアルな作業が加えられTAP決定。
  • 勧告A.8(Alternative approval process for new and revised ITU-T Recommendations):の変更提案についてレビュー。
  • 勧告A.18(Joint coordination activities: Establishment and working procedures):TAP決定。
  • 勧告A.24(Collaboration and exchange of information with other organizations):TAP決定。
  • 勧告A.25(Generic procedures for incorporating text between ITU-T and other organizations):合意に至らず。
  •  SupplSGA(ギャップ分析に関するガイドライン):内容について合意。
  • 決議22改訂案:内容について合意に達せず継続審議。
  •  4件の出力リエゾン文書(いづれも各SGに宛てたもの)について承認。

2.3 WP2の主要トピックス

2.3.1 作業項目・再編、SG作業 / 調整RG(Work Programme and  Restructuring, SG work, SG Coordination)

  • SG9,SG16の統合に関し、両SGのJoint Management Team(JMT9&16)が作成したレポート(TD589)を報告。付属資料1中の「social and ethical aspectsを考慮する」という記述を削除すべきとのコメントがあったが、そのまま記載されることとなった。 TD589の付属資料4はWTSA-24での審議後に新SGの初回会合で審議されることとなった。
  • SGCの名称はWP2プレナリで「Technologies for multimedia, content delivery and cable television」で合意。
  • OTTの定義に関する議論を行うため、SG2とSG3のJoint Working Partyが設立される旨のリエゾンが報告され、Noteされた。
  • カナダから、各SGで使われている用語を統一すべきとの提案。具体的には、“digital technologies”を” telecommunications/ICTs”に、また“new/emerging technologies”を“new/emerging telecommunication/ICTs”に統一するというもの。継続して議論していくこととなった。
  • SG13議長(NICT谷川氏)より、「6G」の代わりに「IMT-2030」という用語を使用するよう提案、Noteされた。
  • WTSAに向けた準備状況に関する各SGからのリエゾンについてNoteされた。
  • SG9の勧告J.185/186のSG15への移管についてはWTSA-24においてもしくはWTSA-24後にSG間で審議。

2.3.2 産業界とのエンゲージメント、メトリクスRG(Industry Engagement, Metrics)

  • 決議22の改訂案(C111/TD567)を審議した結果、了承。
  • 決議68の改訂についてカナダ及びブロードコムからの変更提案をレビューし、統合したバージョン(TD666R4)で承認。TSAGレポートに含まれ、WTSA-24で提案される。
  • 業界の活発な関与のためのITU-T行動計画の修正案(TD624R2)の内容について合意。
  • ワークショップ報告(TD667/TD599)を了承。
  • 新興技術に関する新決議案(C113/TD680)について、反対意見が多く合意に至らず、継続審議。

2.3.3 デジタルトランスフォーメーションRG(Digital Transformation)

  • ブロードコムからUPUとのコラボレーションについての提案(C114)があり、UPUと今後作業することが決定。今後のミーティングにUPUを招待してコレボレーションを進める。
  • 持続可能なデジタルトランスフォーメーションに関する新決議案(TD681)をレビューし内容について合意。

2.4 フォーカスグループメタバース(FG-MV)

  • 2024年6月で終了したフォーカスグループメタバース(FG-MV)の成果文書の割り振り先SGの議論を実施(TD511 Annex 2)した。この結果をまとめたTDを作成し、それをベースに全SGにリエゾンを発出。

3.  今後の予定

  表2にTSAGのRG(ラポータグループ)会合の今後の日程を示します。
(最新の日程はITU HP: https://www.itu.int/net/ITU-T/lists/rgm.aspx?Groupを参照のこと)

  次回TSAG会合は、2025年5月26日~30日にジュネーブでの開催が予定されています。

表2 RG会合スケジュール