マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

平成29年 新年のご挨拶  - 繋がるIoTを目指して-

 あけましておめでとうございます。昨年中は、TTCの活動に関しまして皆様の格別のご厚情を賜り、ここに改めて厚く御礼を申し上げます。2017年の皆様のご繁栄をお祈り申し上げます。

写真は行く年(2016年)と来る年(2017年)の東京タワーです。

 平成29年は酉年。十二支の「酉」は「ニワトリ(鶏)」とのこと。とりは“とりこむ”と言われ、皆様にとって、ビジネスの輪を広げ、仲間を増やすには縁起の良い干支であると思います。TTCとしては、暁を告げる鶏のように新時代の幕開けをいち早く伝える役割を果たし、新課題を積極的にとりこみ、いずれは「飛ぶとりを落とす」勢いで会員が増える組織となることを目指したいと思います。

 TTCがとりくむべき課題としては、グローバルな標準化動向を踏まえた柔軟な対応が必要と考えます。グローバル標準化の世界での重点課題としては、WTSA-16でのITU-TのVision2020でも示されていますが、「IoT(Internet of Things)」と「5G次世代モバイル」が中心に議論される見通しです。TTCでの具体的な検討内容については、新年度以降の事業計画の策定において活発に議論をいただいているところですが、私の新年の抱負を述べたいと思います。年頭の抱負については、稲田事務局長によるTTCレポート2017年1月号(Vol.31)の巻頭言「2017年を変える年にしよう」も参考にしていただければと思います。

 TTCは1985年の発足以降、通信自由化によるマルチキャリア相互接続、インターネット・モバイルの情報通信(ICT)ネットワークの発展に関わってきましたが、今までの通信サービスの中心は電話サービスでありました。近年の「IoT」の発展により、サイバー世界と実世界(Physical Systems)との融合が進んでいますが、実世界は、工場の製造プロセス、バスや地下鉄の公共交通、農作物栽培、スマートグリッド、Eヘルスなど業界別の縦割(Vertical)な実世界に留まっており、様々なIoTが個別に議論されている状況と思います。

 「IoT」は、社会全体のスマート化(Smart Cities & Communities)の推進に貢献することが期待されていますが、これらの業界縦割なIoTを相互に連携して「繋がるIoT」の実現がこれからの課題となるのではないでしょうか。30年前の電話サービスでのマルチキャリア相互接続の課題は、IoTサービスの相互接続の課題に発展し、異なるIoTを安全に、経済的に、地球にやさしく通信できるようにする「IoT共通プラットフォーム」の標準化が求められる時代が来ると考えています。「IoT共通プラットフォーム」については、TTCはグローバルな標準化プロジェクト「oneM2M」に2012年の発足時より参加し、oneM2M仕様のリリース1およびリリース2の発行、ITU-TのSG20新設に貢献してきましたが、今年は、oneM2M仕様の実装とIoTへの活用を推進するために、セミナーやショーケースイベントなど新企画にチャレンジする予定です。

 5G次世代モバイルについては、有線系技術によりモバイルネットワークの構築に貢献する観点から、2014年より、5GMFとの連携、3GPPやITU-Tへの提案活動を行ってきましたが、5Gネットワークにおけるソフトウェア化(Softwarization)やスライシング技術は、多様で柔軟なIoTサービスの実現を可能にするものであり、2020年までの新研究会期の標準化課題として検討体制を強化するとともに、新技術に関する勉強会やワークショップなども企画していく予定です。

 TTCは、IoTによるイノベーションを推進するために、ICTによるビジネス拡大を図るための仲間づくりと標準化活動に積極的に取り組んでおり、インフラモニタリング、コネクテッド・カーEヘルスなど新サービス創造における安心・安全なネットワークの実現に必要な標準化課題の検討推進に努めていきます。ネットワークインフラのセキュリティ・トラスト、環境保護、防災をはじめ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えた情報アクセシビリティ関連の標準化への取組強化も必要と考えています。

 TTCは、ICTの利活用を通じて様々な産業に新たなIoTイノベーションを創造しようという大きな期待の中で、デジュールのみならずフォーラムやコンソーシアムなどの関連標準化団体との連携・協調の他、中小企業やベンチャー企業等の色々な方々が集まり、仲間作りや情報収集に活用して頂ける産学官連携の場を提供できるように努力していきたいと考えています。また、TTCは、ICT分野において日本標準を策定する標準化機関として、APT(アジア・太平洋電気通信共同体)GSC(世界電気通信標準化協調機構)などの国際連携を活用した標準化によるグローバル展開についても推進していきます。

 標準化の推進と普及活動を通じ、情報通信分野の発展、我が国の国際競争力の向上に本年も最善を尽くして参ります。皆様のご健勝とご多幸をお祈りするとともに、皆様のより一層のご支援とご指導の程、宜しくお願い申し上げます。

TTCの近くの芝公園で早咲きの梅の花を見つけました