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RevCom/TSAG会合速報:IoTに関する新SG20設立

2015年06月08日

 まず初めに訃報のお知らせです。「SHE KNOWS JOURNAL(SKJ)株式会社社長の真咲なおこさんが平成27年5月18日に享年48歳にてご逝去」との悲しく驚きの連絡を受けました。真咲様とは、2009年にジュネーブで開催されたITU Telecomの取材でお会いして以来、TTCでのセミナ企画や総務省受託の「標準化教育テキスト」の作業検討会などにご参加いただき、TTCイベントのビデオ記録や標準化教材のEラーニング化について多大なご支援を頂きました。平成24年度からの調査活動報告の紹介ビデオでインタビュアーとしてご出演頂いた折の、明るく聡明で優しさに溢れる元気な真咲様の姿が忘れられません。真咲様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 今回のブログでは、5月29日から6月5日までジュネーブのITU本部で開催されたレビュー委員会(Review Committee:RevCom)TSAG会合におけるITU-T再編に関する話題を中心に速報させていただきます。会合の詳細な審議内容についてはTTCの国際連携アドバイザリーグループや総務省の関連委員会での報告をご参考にしていただければ思います。以下には私見を含めた動向分析を報告します。

 今会合では、RevComからTSAGに対して進捗報告と提案を行い、それを受けてTSAGではいくつかの重要な判断が行われました。

  1. IoTに関する新SGの設立
     RevComでは、今後のITU-Tの新組織体制で考慮すべき新課題として、Vertical課題と呼ばれるIoT(Internet of Things)、5G、ITS(Intelligent Transportation System)の3課題を重要課題として挙げ、これらの中から新SGの設立を早急に検討することをTSAGに提案しました。

     これに対してTSAGでは、今回、IoTに関する新SGを設立することを決定しました。IoTは、昨年10月の全権会議(PP14)や先月に開催されたITU理事会でも重要課題として関心が高まっていた課題でありました。今回のTSAGでのSG設立は時期尚早であるという懸念が米国やドイツなどから出されましたが、20カ国を超える多くの国が今TSAGでの新SGの設置に賛成を表明したことから、TSAG議長は、IoTの重要性、ITUとして検討すること、設立時期についてコンセンサスが得られたと決断しました。ITU-TでWTSA(世界電気通信標準化総会、4年に1度開催されるITU-Tの総会)以外の機会で新SGの設立を決定するのは初めてのことで、歴史的な判断のひとつと言えるでしょう。

     新SGはSG20で、SGタイトルはIoT and its applications including smart cities and communities (SC&C)です。SG20のミッションは「IoTとその応用」に関する検討で、当面はFG-SSCが検討してきたスマートシティへの応用を検討する他、今後、EヘルスやE農業など様々な応用を含むIoTを検討していく方針です。SG20の課題構成は、既存のSGからIoTに特化した課題を移行することで構成し、表1の構成となります。IoTの主管SGであるSG16の課題25は完全にSG20に移行することになります。SG20の議長と副議長構成については、TSB局長の裁定により、UAEのNasser Saleh Al Marzouqi氏が議長、副議長にはスペイン、サウジアラビア、アルゼンチン、中国、イタリア、ロシア、韓国、日本からの8名が候補であることが発表されました。

     なお、RevComから提案した他の重点課題の内、ITS課題については、CITS (Collaboration on ITS) を次回TSAGまで継続することを決定しました。また5G(Non-Radioパートとしてのネットワーク課題)についてはSG13を親SGとしたFG IMT-2020を立ち上げることになりましたので、来年のWTSA-16ではそれらの進捗を踏まえたSG新体制が検討されることになるでしょう。

  2. 次会期SG構成検討のための新ラポータグループの設立
     WTSA-16(2016年11月予定)にて決定される、次会期のSGの詳細構成検討については、米国からの提案を受け、TSAGとRevComとの間での検討の重複を避けるために、RevComでの合意を基に、TSAGで詳細検討を早急に開始するべきであることを提案しました。TSAGでは、次会期のSG詳細検討についての「作業計画とSG構成」に関する新たなラポータグループ(Fabi Bigi氏(イタリア)リーダ)を立ち上げることを決定し、各SGと会員メンバーに対して、WTSAの決議2の草案となるSGの責任分担と課題構成を検討するための寄書を要請することになりました。

     また、RevComは、今後のSG再編検討に資するため、再編のハイレベルな再編基本原則について、7つの原則(A: Optimized structure、B: Clear mandates、C: Enhanced coordination and cooperation、D: Cost-effective and attractive、E: Efficient and productive working methods、F: Timely addresses standardization needs、G: Assists in bridging the standardization gap)として整理し提案しました。

  3. FG(Focus Group)成果物の効率的な移行のためのガイドライン合意
     RevComでは、FGの成果物をSGでの勧告草案として検討できるように、迅速に移行するためのガイドラインを勧告A.7の付録として作成することを提案し、TSAGでの承認を得ることができました。

  4. 標準化戦略検討機能の検討継続
     今後のRevComでは、今回合意に至らなかったITU-T内に市場動向と最新技術動向を踏まえた標準化戦略立案を行う管理機能(Standardization Strategy Function)の検討を継続するとともに、WTSA-16でSG再編の検討に資するための既存の組織体制の課題の洗い出しを継続する予定です。

  5. SG活動モニタリングの既存組織の評価継続
     RevComでは、ITU-TのSG(研究委員会)活動状況を把握できるように、それぞれの会合への参加者数や寄書数、成果物の数などを自動でモニタ分析できるデータベースの開発をTSBに要望し、TSAGに定期的に報告できるようになりました。モニタの結果は各SGの運営管理に有益であるとの評価で、モニタを今後も継続することを合意しました。

表1:新SG20の課題構成

移行SG課題

仮課題番号

課題タイトル

備考

2/13

A/20

Requirements and use cases for IoT and its capabilities

Q2/13の
部分継続

3/13

B/20

Functional architecture for IoT

Q3/13の
部分継続

25/16

C/20

IoT applications and services

Q25/16の
継続

11/13

D/20

IoT user centric networking and services, including interworking

Q11/13の
部分継続

20/5

E/20

IoT in Smart Sustainable Cities and Communities

Q20/ SG5の
部分継続

Q1/11

G/20

Signalling and protocol architectures for IoT

Q1/11の
部分継続

 次回のRevComは、TSAG( 2016年2月2~5日)の直前に2日間ジュネーブで開催(2016年1月29~2月1日)するとともに、RevComのラポータグループの中間会合(電子会議)を12月8日に開催する計画です。WTSA-16に向けた提案を準備するために、2016年には7月にもRevComとTSAGをジュネーブで開催する予定です。

 最後に、今回のジュネーブ出張のため、ご逝去された真咲様とのお別れの会には参加できませんでしたが、真咲様と初めてお会いしたジュネーブの風景を撮ってきたのでお届けします。SKJで真咲様のご遺志を引き継がれた久島千果様をはじめとする皆様方のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

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