マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

平成28年度TTC表彰式典・ITU-T創立60周年記念祝賀会

 平成28年6月21日、メルパルク東京にて、平成28年度の情報通信技術賞(総務大臣表彰及びTTC会長表彰)、功労賞及び感謝状の授賞式とその祝賀会が開催されました。総務省大臣政務官 輿水恵一様、総務省大臣官房総括審議官 武田博之様、情報通信国際戦略局通信規格課長 中西 悦子様を始め、多くのご来賓の皆様とTTC会員会社代表の皆様のご出席をいただき、無事、式典を挙行することができました。本ブログでは、授賞式とその祝賀会での模様を報告します。

 TTCの事業活動推進の一環として、TTCの事業遂行に多大な貢献をされた方々に対し、毎年表彰を行っており、その賞としては、「情報通信技術賞」として、総務大臣表彰TTC会長表彰、TTC標準の作成維持等に積極的に参画しその功績が著しい方へ与えられる「功労賞」、さらに、TTCの組織の運営を支援し、特に寄与した皆様に対しては、そのご貢献に対しまして感謝の意を表し、「感謝状」が贈呈されます。受賞された皆様のお名前と受賞内容はTTCのプレスリリースでご紹介しています。

  今回、総務大臣表彰を受賞された、加納様、森田様、TTC会長表彰を受賞された、岡崎様、厚東様、高橋様、林様(五十音順)、「功労賞」を受賞された18名の皆様方と「感謝状」を受賞された43名の皆様方にお祝い申し上げます。また、受賞の皆様を支援してこられた職場やご家族の皆様方にも、あわせて、心よりお祝い申し上げます。

 表彰式典の模様と、受賞された皆様の集合写真を下記に示します。

輿水総務省大臣政務官の祝辞模様
輿水総務省大臣政務官の祝辞模様
総務大臣表彰・TTC会長表彰・功労賞受賞の皆様
総務大臣表彰・TTC会長表彰・功労賞受賞の皆様
総務大臣表彰・TTC会長表彰・感謝状受賞の皆様
総務大臣表彰・TTC会長表彰・感謝状受賞の皆様

 輿水政務官のご挨拶の中で、IoTを活用した新たなビジネスやサービスの創出、新たな市場の獲得に向けての国際標準化の重要性をご指摘いただきましたが、IoT課題については、TTCの本年度の最重要課題であり、新しい会員参加を含め、検討体制を強化していく考えです。ただ、IoTはICT分野だけではカバーできない業界横断的な課題としてとらえる必要があり、新規メンバーにとっても魅力的なTTCの役割と体制の強化が必要であり、今回、TTCでは、業際イノベーション本部の中に新たにNICTの富田理事を委員長とするIoTイノベーション推進を図るための委員会を立ちあげることにしました。

 IoT実現に求められる標準化はフォーラム標準だけではありません。これからの標準化戦略は、デジュールか?フォーラムか?または、デファクトか?の選択ではなく、それらを如何に連携させ、役割分担させていくかが重要と考えます。そしてTTCにおいても、フォーラム型標準に向けた検討を一層強化していく考えです。今までにTTCは、3GPPや、oneM2Mなどのフォーラム的な団体のコアメンバーであること、そして、GSMAやIEEE、またIIC:インダストリアルインターネットコンソーシアムなどとMoUを締結し、フォーラム団体とも連携関係を構築してきているという経験と実績を踏まえ、検討領域の拡大を図っていく予定です。

 これらの新しい取り組みは、総務省をはじめとする国内のIoT推進コンソーシアムの動向とも整合したものであり、TTC会員皆様の新たな声と熱意に応えられるよう、TTCの運営に努めていきたいと思っています。

WTSA-16 カトマンズ会合
WTSA-16 カトマンズ会合

 私は先週(6月12日~19日)はネパールのカトマンズで開催されたアジア・太平洋電気通信共同体であるAPTのWTSA-16準備会合に議長として出張してきました。WTSAはITU-Tの次会期の標準化戦略と検討体制を決議するための総会で、4年に一回開催され、WTSA-16は本年の10月25日から11月3日まで、チュニジアのYasmine Hammametで開催されます。

 このWTSA総会に向けたAPT準備会合ではAPT地域としての共同提案を検討します。国際連合機関であるITU-Tは193か国の主管庁メンバーがおり、その決議においては、193か国の約20%を占めるAPTの38加盟国が共同提案で連携することが可能です。日本がAPTでの議論をリードすることにより、国際標準での日本の立場を反映し、強化するという国際標準化戦略です。

 APTは日中韓CJKの連携を図る場としても活用できますし、近年では、マレーシア、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシアなどの発言力も高まりつつあり、標準化を通じアジアでのこれからのビジネス連携に活用していくチャンスがあると考えます。

 今回のAPT準備会合でも、「IoT」の課題検討を加速するための新決議作成の提案が議論されました。IoT標準化はフォーラムやデファクトだけの議論ではなく、デジュール機関での検討と整合させていくことが重要となります。

ITU-T60周年ロゴ
ITU-T60周年ロゴ

 本年は、国際電気通信連合の電気通信標準化部門であるITU-Tの前身組織であるCCITT(Comite Consultatif International Telegraphique et Telephonique、国際電信電話諮問委員会)が1956年に設立されてから60周年となることから、ITU-Tでは様々な記念イベントを計画しております。 ITU-Tへの標準化活動を推進するTTCとして、この60周年を記念するイベントとして、TTC表彰の中で特別枠を用意し、ITU-Tの標準化活動に特に貢献された方を表彰することを提案し、NTTのOBで早稲田大学の名誉教授である加納貞彦先生を総務大臣表彰として表彰することになりました。

 加納先生は、1977年からデジタル通信網の基本となるNo.7共通線信号方式等の標準化を推進し、1992年からは、ITU-TのSG議長(SG11議長)に就任され、8年間にわたりデジタル信号方式やプロトコルの国際標準化を主導されてきました。

 このTTCによるITU-T創設60周年記念表彰企画について、私からITU-T局長のチェイサブ・リー氏に伝えたところ、TTCの特別企画に感謝の意を表され、リー局長からはお祝いのビデオメッセージが届きました。

 また、ITU幹部の皆様も加納先生のこれまでの業績を高く評価され、加納先生に感謝状を贈呈したい、というお話をいただき、ITU事務総局長のHoulin Zhao氏の署名の感謝状が用意されました。感謝状の実物は、先週のAPTのカトマンズ会合で私がリー局長から受け取り、加納先生にお届けすることができました。

ITU-T60周年記念表彰状
ITU-T60周年記念表彰状

 最後に、今日のTTCの基礎を創られた関係者の皆様、30年以上にわたり、TTCを支えていただいた皆様のご貢献に、心より感謝の意を表しますと共に、TTCの新たな前進に向けTTCへのご指導とご支援を一層賜りますようお願い申し上げます。