マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

「消防防災科学技術研究推進制度」における課題採択

 今日から7月、季語のひとつに「富士登山」があるようですが、富士山が世界文化遺産に正式登録され、今まで見ていた同じ富士山も、世界遺産という冠がつくといっそう雄大に美しく感じるのは不思議なものです。私は日帰りドライブで富士山を眺めるのが好きで、海外のお客様が日本を訪問されると見晴らしの良い十国峠(写真:十国峠からの富士山)によくお連れします。

  さて、今回のブログは、富士山には関係ありません。研究委託に関する受託のお知らせです。

  平成25年6月27日付けの総務省の消防庁からの報道資料において、「消防防災科学技術研究推進制度」における平成25年度新規課題の採択に関する発表があり、その中で我々TTCの案件は、平成24年度の継続課題として継続採択の承認が通知されました。

  提案の案件は、TTCのスマートコミュニケーションアドバイザリーグループの傘下の緊急通報アクセシビリティワーキングパーティ(Em-Call WP)で検討を進めている案件である「大規模災害、聴覚・言語機能障がいに対応した緊急通報技術の開発」で、パケット通信を用いた新たな緊急通報・災害通信手段を構築するとともに、通報側のインターフェースなどの標準化を行うことで、聴覚・言語機能障がいに対応した緊急通報技術を構築することを狙いとしています。

  世界に先行するわが国の高齢化社会においては、健常者も高齢化に伴い、障がいを持つことを考慮しなければなりません。また、災害時・緊急時等においては、一時的に視覚や聴覚などに不具合を生じる可能性もあります。更には、その国の言語を理解することが困難な外国人への対応も考慮しなければなりません。

  一方、大規模災害による通信基地局の損壊および損壊を免れた回線への通信一極集中による輻輳・接続障害が発生したことは記憶に新しいと思います。したがって、大規模災害時に強いといわれていた音声回線にも障害が発生する可能性は否定できず、代替接続手段として、パケット情報を用いた無線のマルチホップ通信などついて考慮する意義が出てきたと考えられます。

  このような状況を踏まえ、高齢者も含む広義の障がい者を対象とし、これまで国際一般の仕組みである音声による緊急通報システムではなく、音声以外の情報伝達方法(パケット通信によるGPS測位情報およびテキスト情報に基づく通報者の情報送出)による緊急通報システムと、そのアクセシビリティに関する検討を総合的に行うことは、わが国だけでなく国際的にもきわめて重要な課題であると考え、標準化を狙った検討を進めています。

  TTCでは、「消防防災科学技術研究推進制度」における「大規模災害、聴覚・言語機能障がいに対応した緊急通報技術の開発」を推進するために、国際対応可能なシステムの仕様作成と設計のための技術的な検討を行うための技術検討会(リーダー:加納貞彦氏 (TTC顧問、早稲田大学名誉教授))を設置して進めることにしました。今後、この技術検討会において、システムに関する設計と国際標準化のための仕様内容の検討、システム検証とその検証結果に基づいた技術的な解決策の検討を行う予定です。その概要についてはEm-Call WPでもご紹介する予定です。

  本技術課題に関心のある方は、事務局にお問い合わせください。

  最後に、本ブログでは、アクセシビリティとはAccessibility:高齢者・障がい者を含む誰もが支障なく利用できるようにする課題、と解説してきましたが、このアクセシビリティの理念を理解し、学ぶ機会として有益と思われますイベントが本年11月に秋葉原で開催されるという情報を得ましたので、皆様と共有させていただきます。

 

情報アクセシビリティ・フォーラム:http://www.jfd.or.jp/iaf/

日時:2013年11月22日-24日

場所:東京都千代田区・秋葉原UDX