マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

第43回APT管理委員会速報 ~ 2020年活動計画の承認 ~

 APT(Asia-Pacific Telecommunity:アジア・太平洋電気通信共同体)の第43回管理委員会(MC-43:The 43rd Session of the Management Committee)の会合が、2019年12月10日~13日まで、タイ王国の首都バンコクの Royal Orchid Sheraton Hotelを会場として開催されました。今会合には、APT加盟国38カ国のうち、定足数を超える24 カ国から約110名が参加しました。

 私はASTAP及びAPTのWTSA準備会合の議長として、2019年の活動報告を行うとともに、2020年度の会合開催計画の承認を得る審議のために出席しました。本ブログでは、MC-43会合の概要を速報します。

blog20191216-01.jpg
MC-43会合参加者集合写真

 

blog20191216-02.jpg
MC-43会合模様

1.MC会合とは

 MC会合は、GA-14(General Assembly:総会)が決定した2018年~2020年のAPTの戦略計画における全ての作業プログラム(Work Programme)の進捗内容を毎年検証するとともに、翌年の作業プログラムの年間計画とその予算(Budget)計画を検討し、決定する役割を持っており、MC会合には全ての作業プログラムの議長の参加が求められています。

 MC会合の役職者は今会合からの新任で、議長はSang-hun LEE氏(韓国)、副議長はCharles CHEW氏(シンガポール)とLindl Rowe女史(オーストラリア)です。MC会合では、MC副議長がそれぞれリーダを担当するアドホックグループが構成され、作業プログラム(Work Program)と予算(Budget)について分担して詳細な検討が行われました。

2.APT作業プログラム

 APTの活動はMCの管理のもとに、複数の作業プログラムとして実施されます。作業プログラムは、APT戦略計画における5つの戦略的柱に従って、図1のように15の作業プログラムとして整理されます。

図1:戦略的柱と作業プログラム
図1:戦略的柱と作業プログラム

 佐藤孝平氏(ARIB)が本年9月まで議長を務められた「AWG」と、私が議長を担当する「ASTAP」は、戦略的柱のConnectivity&Innovationにおける技術的側面を扱う作業プログラムとして位置づけられます。また、私が議長を担当するAPTのWTSA準備会合は、4年ごとに開催のITU-T総会へのAPTとしての対処方針を検討する会合であり、戦略的柱のPartnershipの作業プログラムとして位置づけられます。

 各作業プログラムの詳細はAPTの関連サイト(https://www.apt.int/)の情報を参考にしてください。

3.APT活動予算

 APTの2018〜2020年の年間支出限度額および各国の拠出分担金額はGA-14(総会)で決定されており、2020年の年間予算の支出限度額は2,729,645米国ドル、日本の年間確定分担金は40ユニット(411,200米国ドル)です。

 また、日本、韓国、中国、オーストラリアなど主要国が政策上の必要に応じて拠出を決定する任意拠出金(EBC: Extra Budget Contribution)については、日本はAPT加盟38ヵ国の中で、分担金・拠出金の最大の貢献国です。

 日本には32社(団体)がAPTのAffiliate会員として登録されており、TTCもその一会員です。日本は今後とも、官民合わせた貢献度に見合ったアジア太平洋地域でのリーダーシップを発揮できるよう、APTを通じたグローバル活動を活用し、推進していくことが望まれます。

4.ASTAPとAPT-WTSA-1の作業プログラム報告

 ASTAPは、APTの戦略計画の中で、APT地域における電気通信標準化活動の促進、調整、調和を図り、地域協力を通じた技術課題を研究する役割を有し、会員間の標準化専門知識のレベル向上とAPT地域のICT問題に関する実践的な検討を通じた調査活動を行う作業プログラムとして位置付けられます。

 2019年の作業プログラムの活動報告として、ASTAP-31会合(前田が担当)は、「2020年WTSA会合に向けた第一回準備会合(APT-WTSA-1)」と連続して、2019年6月11日~15日に、日本の東京(秋葉原)で開催され、会合結果レポートはMC会合で了承されました。

 2020年の作業計画としては、ASTAP-32会合については、「AIと5Gに関するインダストリ・ワークショップ」を含む4日間の日程で、2020年5月18日~21日、スリランカ(調整中)での開催計画が承認されました。また、APT-WTSA準備会合については、3回の会合計画(詳細は今後の予定を参照のこと)が承認されました。

5.次期APT事務局長・次長選挙

 2020年12月開催予定のAPT総会(GA-15)では、APT事務局長と事務局次長の任期が満了し、次期の役員選挙が行われます。今回のMC会合期間中に、日本、韓国、中国はそれぞれレセプションを主催されました。その中で、日本は、総務省の寺田稔副大臣がMC会合のバンコクに訪れ、日本が主催する12月11日夕方のレセプションにおいて、近藤勝則氏(現APT事務局次長)が次期APT事務局長への立候補を表明するとともに、来年12月に予定されているAPT総会であるGA-15会合を初めて日本に誘致する意向を示しました。

 また、次期事務局次長候補としては、韓国からLee Sang-hun氏(現MC議長)と中国からLiu Ziping氏の2名の立候補が表明されました。
 

日本レセプションでの寺田稔総務副大臣(左)と近藤APT事務局次長(右)
日本レセプションでの寺田稔総務副大臣(左)と近藤APT事務局次長(右)
blog20191216-05.jpg
日本レセプションでの余興

 

6.アジア太平洋ICT閣僚会議とAPT創設40周年記念イベント

 APTは、15 加盟国で1979 年に設立され、その後、38 加盟国、4 準加盟国、および136 賛助会員を有する組織に発展しました。APTは、アジア太平洋地域のために創設された電気通信/ICT分野における唯一の条約に基づく政府間組織で、地域協力を促進し、開発を支援するための開発イニシアチブ、フォーラム、能力養成プログラムなどを促進する上で重要な役割を果たしてきました。

 APTが5年ごとに開催している「アジア太平洋ICT閣僚会議」が、2019年6月25~26日にシンガポールで開催され、アジア太平洋地域の発展に関する新たな5年ビジョンである、アジア太平洋における接続されたデジタル未来(a Connected Digital Future)の共創に関するアジア太平洋ICT大臣のシンガポール宣言(Singapore statement)が採択されるとともに、このICT閣僚会議の中で、APT設立40周年記念を祝うイベントが開催されたことがMC会合で報告されました。

7. 今後の会合予定

 次回のMC-44会合については、GA-15総会と合わせて、2020年12月上旬、日本(開催都市など詳細は調整中)での開催が予定されています。また、TTCに関連する会合予定を含めて以下にまとめて示します。

会合 日程 場所
ASTAP-32会合
2020年5月18日~21日
スリランカ(調整中)
APT-WTSA-2
2020年4月14日~16日
イラン(テヘラン)
APT-WTSA-3
2020年6月22日~24日
中国(深圳)
APT-WTSA-4
2020年8月18日~21日
フィリピン(調整中)
GA-15/MC-44
2020年12月
日本(調整中)