マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

HD-PLC アライアンスとのMoUの締結について

 2013年も師走を迎え、晩秋の山を色づけていた紅葉も落葉しはじめ、一気に冬の訪れを感じるようになりましたが、暦では、12月7日は「大雪」ということで、いつ雪が降っても不思議でない季節になりました。

 TTCは、ホームネットワーク通信インタフェース(広帯域PLC)に関するTTC標準(JJ-300.20)の実現のために、標準化連携が必要となる「HD-PLCアライアンス」とのMoU(Memorandum of Understanding)を締結しました。MoU締結を記念し、12月3日にHD-PLCアライアンスとTTCとのMoU調印式を開催しました。

 HD-PLC(High Definition Power Line Communication)とは、電力線を用いた高速伝送通信技術のことです。HD-PLCアライアンスは、パナソニック(株)を中心に27社のメンバーで構成される組織で、HD-PLCを採用した製品の普及推進と製品間での通信互換性の向上を目的として2007年9月に設立されました。

 TTCの次世代ホームネットワークシステム専門委員会では、2012年11月に、HEMS(Home Energy Management System)と住宅内機器を接続する標準インタフェースであるECHONET Lite規格の下位層通信インタフェースを実装するためのガイドラインとして、技術レポート「ホームネットワーク通信インタフェース実装ガイドライン」(TR-1043の制定を行いました。その後、このTR-1043で記載の各種通信方式をTTC標準として制定し、現在までに「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース(IEEE 802.15.4/4e/4g 920MHz 帯無線)」(JJ-300.10)、「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース (ITU-T G.9903狭帯域OFDM PLC)」(JJ-300.11)をWi-SUN アライアンスZigBee アライアンス等と共同して制定してきました。

 今回、HD-PLCアライアンスと共同して TR-1043に記載のIEEE 1901(高周波PLC方式)でECHONET Liteを利用する際のTTC標準として、「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース (広帯域Wavelet OFDM PLC ([HD-PLC]))」(JJ-300.20)、および「ECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース (広帯域Wavelet OFDM PLC ([HD-PLC])省電力化用拡張機能)」(JJ-300.21)の制定作業を完了しTTCドキュメントデータベースにアップされました。

 HD-PLCアライアンスでは、5年半に及ぶIEEEでの標準化審議に参画し「HD-PLC」方式の標準化を推進してきた結果、2010年12月、IEEE 1901として承認されています。その後、IEEE 1901規格は、ITU-TのG.hn規格におけるIEEE 1901 共存仕様(ISP)に反映されています。さらに、無線や有線の様々なホームネットワーク規格を統合するコンバージェンス規格であるIEEE1905.1にも反映されています。

 TTCでは、HEMSと住宅内機器を接続する通信インタフェースの標準化を推進してきましたが、今回のHD-PLCの反映により、無線(920MHz帯、2.4GHz帯)、銅線、光ファイバー、電力線の様々なホームネットワークの物理レイヤに対応した下位層通信インタフェースの標準化が揃ったことになります。

 写真1は、12月3日に開催したHD-PLCアライアンスとTTCとのMoU調印式の模様です。HD-PLCアライアンス会長の荒巻道昌氏がTTCを訪れ、TTC前田との調印記念式典を行いました。写真2は、MoU調印式に参加いただいたTTCとHD-PLCアライアンスの関係者の集合写真です。荒巻会長と前田の横列は、左から、TTCの国際連携アドバイザリーグループの松尾一紀氏と次世代ホームネットワーク事務局の谷口康一氏、HD-PLCアライアンスの伊田吉宏氏です。調印式のために九州からおいでいただいたHD-PLCアライアンスの関係者の皆様に感謝します。

写真1 MoU調印式
写真1 MoU調印式
写真2 調印式集合写真
写真2 調印式集合写真