トピックス

TR-1072「電力需給調整サービス用ネットワークに求められる要件とこれに適した通信サービスおよび代表的なネットワーク構成について」の制定 (IoTエリアネットワーク専門委員会)

   IoTエリアネットワーク専門委員会では、2019年3月5日付けで、TR-1072「電力需給調整サービス用ネットワークに求められる要件とこれに適した通信サービスおよび代表的なネットワーク構成について」を制定しました。

TR-1072制定の背景と概要

  再生可能エネルギーのうち太陽光発電や風力発電は、出力が気象条件(日照、風況)に依存しており、これらの発電が増加すると発電出力の変動が大きくなる。このため、変動を吸収・相殺する電力資源を活用し、電力品質の悪化や停電等の事故を未然に防止する対策が必要であり、需要家の分散型電源の活用が検討されている。この電力の需給調整を円滑に実施するためには、送配電事業者/電力小売事業者、エネルギーサービス事業者、需要家の設備(ビルエネルギー管理システム、エネルギー資源制御装置、電力資源)間で、需給調整に必要な情報のやりとりを行うことが求められる。この需給調整に必要な情報のやりとりのうち、エネルギーサービス事業者と需要家の設備の間の情報のやりとりを行うためのネットワークを、ここでは「電力需給調整サービス用ネットワーク」と呼ぶ。

  電力需給調整サービスの社会実装に必要なネットワーク仕様については、2018年現在、電気学会を中心に検討中である。しかし、電力側、情報通信側双方の状況変化を踏まえ、ネットワーク仕様の策定に当たっては、新しい情報通信サービスを念頭に電気事業者やエネルギーサービス事業者が通信サービスに求める要件(通信品質、通信コスト、セキュリティ要件等)と電気通信事業者が提供している情報通信サービスの性能や料金等を相互に確認し、整理・明確化しておくことが望まれる状況となっている。

  本技術レポートでは、本検討に至る経緯、電力需給調整サービスの概要とシステム構成、ユースケースと、それを実現するための「技術」、「セキュリティ」、「電力需給調整サービス用ネットワーク」に関する要件などをまとめている。そして、電力需給調整サービス用ネットワークに求められる要件に適した通信サービスと代表的なネットワーク構成、および今後取られることが望ましいと考えられる行動と電力需給調整サービス用ネットワークの社会実装に関するロードマップの提示を含む今後の課題などを述べている。