活動内容

変化しながら標準化活動に取り組もう!
~標準化会議議長就任にあたって~

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KDDI(株)
大谷 朋広

  今年度より、標準化会議議長を拝命いたしました。これまでの副議長の経験を生かして、微力ながら、精一杯、務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨今、どの産業界でも、ディジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を見聞きしない日はないのではないでしょうか?情報通信技術(ICT)のすさまじいスピードの発展を、出来るだけ大胆に業務に取り入れて、既存ビジネスの変革、ビジネス機会の拡大を目指そうというものです。変化の速い時代に、変化を早くとらまえて、仕事のやり方を変化させていくことが求められています。

 標準化団体も、少なからず影響を受けていますが、変化して逞しく成長している団体もあります。私が関わるTM Forumも、団体名、扱う内容、会員数含めて大きく変化をしてきています。団体名は、Telemanagement Forumを略してTMFと名のっていたのですが、ディジタル化の時代、電話時代からの運用という名前ではないからTM Forumに変えたとのことでした。運用支援システム(OSS: Operation Support System)も次世代のという意味でNGOSS (Next generation OSS)というものから、ディジタル化、運用の変革を意識しFrameworxとしてスコープを定義し直しました。その辺りから、Operation Transformationと言い始めて、OSSだけでなく、BSS (Business Support System)を取り込みました。最近では、文字通り通信事業者がディジタル化に取り組むためには、といった形でDigital Transformationを目標として、ODA/ODF(Open Digital Architecture/Open Digital Framework)にさらに再定義して、ますます成長しています。このように、自分たちのコアコンピテンシー(TM Forumでは、OSSとそのアーキテクチャとフレームワーク)は維持しつつ、時代に合わせた変革とビジネス拡大をしていくことが求められています。

 自分自身の標準化活動も、変化、いやトランスフォームしていく必要があります。以前は、個人としての活動でしたが、年齢とともに、組織として標準化にどうかかわっていくか、メンバーが標準化で貢献するにはどうすればよいか、という観点の活動となっています。また、寄書作成に追われなくなった反面、フォーラムの運営やチェアとしての貢献を求められるように変化してきました。このTTCでの議長の仕事も、これまでの経験を十分に活用した上の活動、自分自身に新たな変化を求められているととらえています。TTC会員企業からの参加者の方々にも、そのような変化やトランスフォーメーションを地で行ってきた人たちが多数いらっしゃり、物事のとらえ方、時流を読む力、キーマンとの付き合い方、など本当に示唆に富んだアドバイスをし合えるチャンスがあります。

 昨年度より、企画戦略委員会では、標準化人財の育成という新たなプログラムを企画し、本年度より起動させていくこととなりました。標準化団体の活動も、中国や韓国の台頭が顕著であるのはいうまでもなく、また若い世代の積極的な参加が少ないという事実もあります。メンバー企業の方々から、危機感のあるメッセージが多く発せられ、それを受けた一つの活動となっています。まずは、この活動をしっかり進めて定着させていく所存です。

 前半で述べたTM Forumですが、実は、標準化活動にとどまることがなく、以前は標準化会議の総会として開催していたイベントを、幅広い講演、標準化の活動紹介、共同PoC (proof of concept: TMFではCatalyst projectと呼ぶ)成果発表、展示などからなる一大イベントに成長させました。縦や横の連携啓蒙がいたるところで行われ、非常に刺激的な場になっています。ベテランやエキスパートの方々だけでなく、若手や新規参入者も非常に多く、切磋琢磨できる場でもあります。何事も習うより慣れろですから、オープン化の場も併用していくことが重要と考えています。標準化活動は、バックワードコンパチビリティなど、新しいものだけではなく、過去も振り返りながら、粘り強く対応することが必要です。一見すると地味なところもあり、とっつきにくいところも多々あります。なので、新しく入り込むには、準備、ちょっとしたきっかけ、ベテランのサポートが、不可欠なのです。

 IT業界のtech-inなどのイベントは、若い人たちの参加も多く、盛況です。「ちょっと~~を試してみた」とか、といった内容もあり、気軽に取り組めるように工夫がされています。我々も大いに見習うところがあるでしょう。個人の活動に加えて、TTCのような場での組織的な活動も加え、多角的に取り組んでいけるようにしていきたいです。

 引き続き、TTCの会員企業の皆様と活動を深め、会員企業の皆様の発展に少しでも寄与できればと存じます。どうぞよろしくお願いします。