活動内容

標準化活動を通じたより良い情報通信社会の
実現にむけて
~標準化会議議長就任にあたって~

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日本電信電話(株)
山本 浩司

  今年度より、標準化会議議長を拝命いたしましたNTTの山本と申します。

  情報通信技術の発展という重要な使命を担うTTCの標準化会議議長として、その責任の重さに改めて身の引き締まる思いを感じております。長きにわたり、TTCを力強く牽引してこられた諸先輩方のご功績に心より敬意を表しますとともに、その築き上げてこられた基盤の上に、微力ながらTTC、ならびに情報通信業界の今後の発展に尽力してまいる所存です。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。

  現代社会において、情報通信技術は、社会インフラとして、経済活動の基盤として、そして人々の生活を豊かにする不可欠な要素として、その重要性を増し続けています。5G、IoT、AI、クラウドコンピューティングといった技術は、私たちの社会に大きな変革をもたらし、またBeyond 5G、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)などの新たな先端技術も普及・展開を見据えた段階となりつつあり、情報通信技術の標準化を推進するTTCの役割は、ますます重要性を増しています。

  TTCは、設立以来、情報通信分野における多様な標準規格の策定、普及活動を通じて、日本の情報通信技術の発展に大きく貢献してまいりました。これまでに制定されてきた数々の標準規格は、今日の高度情報化社会を支える基盤となっています。これらの輝かしい成果は、会員各社・各団体の皆様の卓越した技術力と熱意、そして関係各位の深いご理解とご協力の賜物であり、改めて深く感謝申し上げます。

  しかしながら、情報通信技術を取り巻く環境は、目まぐるしく変化しており、私たちは常に新たな課題に挑戦し続けなければなりません。

  第一に、技術革新への迅速かつ柔軟な対応が求められます。情報通信技術の進化は加速度的であり、標準化においても、最新の技術動向を的確に捉え、迅速かつ柔軟に対応していく必要があります。標準化プロセスの見直しも含めた検討や、新たな技術領域における早期の標準化検討を通じて、イノベーションの促進に貢献してまいります。

  第二に、グローバルな連携の強化は不可欠です。情報通信技術はグローバルな基盤であり、国際標準との整合性確保は、国際競争力の維持・強化に不可欠です。ITU(国際電気通信連合)をはじめとする国際標準化機関との連携を強化し、日本の技術や知見を積極的に発信することで、国際標準化活動への貢献度を高めてまいります。

  第三に、多様なニーズへの対応と新たな価値創造への貢献が重要です。Society 5.0の実現に向けて、様々な産業分野との連携を強化し、新たなサービスやアプリケーションの創出を支える標準化を推進してまいります。また、セキュリティ、プライバシー保護、信頼性といった社会的な課題にも積極的に取り組み、安心・安全な情報通信社会の実現に貢献してまいります。

  第四に、内閣府を中心に新たな国際標準の国家戦略のとりまとめが進められるなど、政府レベルにおいても国際標準化の重要性を啓蒙し、また支援強化の機運が高まりつつあります。政府とも連携した活動をこれまで以上に積極的に進めてまいります。

  これらの取り組みを進めるにあたり、会員各社・各団体の皆様の積極的なご参加とご協力が不可欠です。皆様の専門性と知見を結集し、活発な議論を通じて、より良い情報通信社会の実現に向けて共に歩んでいきたいと存じます。

  結びにあたり、TTCのさらなる発展と、会員各位、関係各位の益々のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げ、私の就任のご挨拶とさせていただきます。