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ブロックチェーンに関するIoTセミナー開催

2018年01月30日

 1月26日の午後、四ツ谷駅に近い主婦会館プラザエフにて、NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)とTTCとの共催によるIoTセミナー「BlockchainはIoTに何を与えるか?」を開催しました。

 この日、不正アクセスによる仮想通貨のNEM(ネム)が流出し、仮想通貨取引所会社「コインチェック」が取り扱う全通貨の出金を停止するという事件の報道がありましたが、本セミナーでは、仮想通貨の技術基盤となっている分散台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)の一つであるブロックチェーン技術の金融アプリケーション以外の適用可能性とブロックチェーンに関連する国際標準化の最新動向に関する議論を行いました。おかげさまで200名を超える参加をいただき、盛況でした。

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会場模様

 分散型台帳技術(DLT)を用いることにより、これまで常に中央にあるシステムを通じて行ってきた取引およびそのデータ保持をP2Pで構成される分散型のデータベースに置き換えることが可能になります。このDLTの適用領域は、金融に限られるものではなく、IoTにおいても、関係者間でデータを共有し、かつ、その信頼性を担保する基盤技術として活用される可能性があります。分散型で信頼性を担保できることから、エコシステム構築に向けた発想やその形態も大きく変わる可能性があります。質疑応答では、講演者からサプライチェーン全体でデータを効率的に共有するエコシステムの構築がまず前提となり、その中で各社のシステムを考えることになるのではとの意見も出ました。

 セミナーでは、共催となったNICTを代表して、富田理事に開会挨拶をお願いし、講師としては表1の4名の専門家をお招きしてセミナーを構成しました。講師の調整、セミナーの司会進行に当たってはNICTの西永望様にご尽力をいただきました。以下に、それぞれの講演の概要を紹介します。

表1:IoTセミナ講演者

 

講演タイトル

講演者

Blockchainが目指すエコシステムの民主化~ネットワーク技術、暗号技術、ゲーム理論の融合~

ジョージタウン大学
リサーチプロフェッサー
松尾 真一郎 氏

オープンなセンサーデータの作成元情報のブロックチェーンによる保全
- Safecastプロジェクトが生成するリアルタイム環境情報への応用-

一般社団法人Safecast Japan代表、MITメディアラボ研究員、慶応大学研究員
Pieter Franken 氏

BlockchainとDLTの技術・標準化動向

ISO/TC307国内委員会委員長、Japan Digital Design CTO
楠 正憲 氏

分散台帳技術(DLT)に関する国際標準化動向:ITU-T

TTCセキュリティ専門委員会委員長、

KDDI(株)
三宅 優 氏

 松尾氏には、本講演のために米国から来日いただき、ブロックチェーン技術の技術的背景とその特徴である非中央集権的で健全なエコシステムの実現に向けた今後の課題について解説いただきました。パブリックブロックチェーンの健全な発展を実現するために、松尾氏は2016年5月からBSafe.networkという中立的な立場で安定かつ持続的なブロックチェーンの学術研究のテストベッドの構築を提言されています。松尾氏によれば、ブロックチェーン技術の進化はフルマラソンで言えばまだ1km地点を通過したところで、実用に至るまでには、ブロックチェーン的なエコシステムの考え方への理解が必要であり、基盤的な技術の進化が必要であると述べられました。

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松尾氏

 Pieter Franken氏には、Bitcoin Blockchainのタイムスタンプ機能を活用した放射線や大気汚染測定など各種環境センサのオープンデータを高信頼に安全に流通させるアプリケーションとして、SAFECASTプロジェクトの概要と今後の課題を紹介いただきました。SAFECASTプロジェクトでは、世界100カ国を超える国から8500万件以上の測定データを収集しており、毎月200万件のデータが増加しているそうです。同プロジェクトの成果は、http://map.safecast.orgで公開されています。

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Franken氏

 ブロックチェーンに関する国際標準化の動きは始まったばかりであるが、ISOおよびITU-Tでの最新の標準化動向について、楠氏と三宅氏に解説をいただきました。

 楠氏は、内閣官房政府CIO補佐官など多くの肩書を持たれていますが、ISOで「Blockchain and DLT」の標準化課題を扱うTC307の国内委員会委員長として、TC307の検討体制と標準化課題の最新動向の紹介をいただきました。TC307では2017年11月の東京会議でSGやWGの検討体制の再編が行われたところで、日本としては、まず、ブロックチェーンのユースケースを収集することから貢献していく方針が示されました。

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楠氏

 三宅氏は、ITU-Tでセキュリティを扱うSG17の副議長であり、かつ、TTCのセキュリティ専門委員会委員長として、ITU-TにおけるDLTに関するFocus Group(FG-DLT)とSG17に新設した課題14(DLTのセキュリティ関連課題)の標準化動向の紹介をいただきました。ITU-Tでも標準化としての作業は開始されたばかりで、DLTとブロックチェーン技術を利用するための共通的な用語や枠組みを作るところからスタートすることと、ユースケースの議論が重要であることが示されました。


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三宅氏

 TTCでは昨年からDLTとブロックチェーンに関する勉強会・セミナーを開催しており、次の2つの勉強会については、TTCホームページでのビデオ講義としてまとめております。

  1. 勉強会(2017年9月20日開催) 「Blockchain技術を取り巻く国内外のビジネス動向と将来展望」 (講師:藤原 洋 氏)
  2. 勉強会(2017年10月27日開催 )「FinTechの本質と金融×ICTの展望」 (講師:岩下 直行 氏)
  3. TTCセミナー(2017年11月6日開催) 「Blockchain技術活用の実態と適用分野拡大への展望」 (Orb社、R3 LLC、SBI Ripple Asia、KeyChain社)

 また、TTCでは、ITU-TのFG-DLTの活動に対応した課題分析を行うグループをTTCのセキュリティ専門委員会の中にSWG(サブワーキンググループ)として開設することとなり、現在、委員の募集中です。DLTとブロックチェーン技術に関して、情報共有、意見交換、およびFG-DLT会合への標準化対応の検討に関心のある方は、是非ともTTC事務局までお問い合わせをお願いいたします。

 


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