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マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

速報:将来ネットワークのための機械学習に関するFG-ML5G新設

 2017年11月6日から17日まで、ジュネーブにて、将来ネットワーク課題を扱うITU標準化専門家グループであるITU-T SG13会合が開催されています。その会合で新しいフォーカスグループ(FG)設立を合意する、というニュースが届きました。

(画像:ITUニュースより)
(画像:ITUニュースより)

 このFGは、5Gを含む将来のネットワークのための機械学習(ML)に関する検討グループで、FG-ML5G(ITU-T Focus Group on Machine Learning for Future Networks including 5G)と称し、機械学習に関するインターフェース、ネットワーク・アーキテクチャー、プロトコル、アルゴリズムおよびデータ・フォーマットを含む将来のネットワーク課題を扱う予定です。参加はITU会員以外にもオープンで、期間限定で一年間の集中的な検討を行う予定です。

 9月28日のブログ「第9回CTO会合速報:AIのネットワーク活用について」でご紹介しましたが、そのCTO会議で5Gシステムと電気通信分野における機械学習とAIによるインテリジェンスに関する標準化の必要性について意見が交わされました。今後、5Gの普及とともに、ネットワークの多様化・高度化が急速に進むことが認識されました。5Gシステムでは、 

  • 高品位映像の伝送など高速化
  • IoT化の進展により車の自動走行や設備の遠隔制御など超低遅延化
  • セキュリティ、改ざん防止など高信頼化
  • 接続デバイス数の大幅増加 

など、個々のサービス特有の要求がリアルタイムかつダイナミックにネットワークに求められ、このようなサービス要求を低コストで実現するには、ネットワークの利用状態や通信品質などを自動的に把握し、サービス要求に応じたネットワークリソース割当をEnd to Endで、リアルタイムかつダイナミックに最適化することが必要となります。この実現の鍵となるのがMLやAIを活用したネットワークの自動オペレーション技術と期待されています。

 MLの活用により、ネットワークの設計や運用管理におけるさらなる自動化やインテリジェント化が期待されています。 MLアルゴリズムは、オペレータがネットワークで生成されたデータをよりスマートに活用するのに役立つと考えられており、MLにより、効率、セキュリティ、および最適なユーザーエクスペリエンスを確保するために、自律的にICTネットワークとそのコンポーネントを有効に適応させることが可能となります。

 このFGの議長は、ドイツのフラウンホーファー・ハインリッヒ・ハーツ研究所(Germany’s Fraunhofer Heinrich-Hertz-Institut)のスラウーマイア・スタンクザック(Slawomir Stanczak)氏で、副議長には以下の4名の方が指名されています。

  • 議長: Slawomir Stanczak氏 (Fraunhofer HHI、ドイツ)
  • 副議長: Charles Chike ASADU 氏 (ナイジェリア大学、ナイジェリア)
  • 副議長: Seongbok BAIK氏  (KT、韓国)
  • 副議長: Viliam SARIAN氏  (NIIR, ロシア)
  • 副議長: Mingjun SUN氏  (CAICT, 中国) 

 第1回FG-ML5G会合は、2018年1月29日から2月2日に予定されています。MLの最先端のユースケースと基礎技術要件が主な議論となると考えられます。

 SG13では既に、リソース割り当てを柔軟に行う基盤技術であるネットワークのソフト化・スライシングについて議論が進んでおり、今回の機械学習の適用検討でインテリジェント化に着手することとなります。TTCでは、SG13への対処を検討するFuture Network専門委員会の関係者とも相談し、今後のAIおよびMLに関するネットワーク課題にどのように取り組んでいくかを検討していく予定です。

 ToRを含むフォーカスグループの詳細については、ITU-TのFG-ML5Gのホームページにアクセスしてください。