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DLT(分散元帳技術)応用に関するFG活動始まる

2017年10月25日

 台風21号が日本列島を駆け抜け、多くの傷跡を残していきました。亡くなられた方々に、謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された地域の皆さま、その家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。皆さまの安全と一日も早い復興をお祈り申しあげます。

 5月8日号のブログで紹介したデジタル金融に関するITU-Tのフォーカスグループ(FG)の中で、分散元帳技術(DLT:Distributed Leger Technology)の応用に関するFG-DLT(ITU-T Focus Group on Application of Distributed Ledger Technology)の第1回会合が、2017年10月17-19日に、ジュネーブで開催されました。ITU-Tのウェブサイト情報を基に会合情報を入手しましたので共有します。

blog20171025_01.jpg※画像はDLTに関するITU Newsのウェブサイトから引用

 FG-DLTの目的は、分散元帳技術の魅力的なユースケースを検討し、これらのユースケースをグローバルスケールでサポートできる標準化の課題を整理することにあります。FGの議長であるDavid Watrin氏(スイスコム、スイス)のメッセージでは、「FG-DLTでは、分散型帳票技術を基盤とした最先端のアプリケーションやサービスに関する寄書を求めている。FGは、国際標準化が、様々なユースケースへの投資を促すのに必要な信頼をどこで構築できるかを理解するために、魅力的なユースケース、およびその周囲の技術的および政策的環境を調査しようとしている。」と述べています。なお、FG-DLTの副議長はMaxim Grigoriev氏(ロシア中央銀行、ロシア)と Wei Kai氏(CAICT:中国情報通信技術アカデミー、中国)が担当されています。

 第1回FG-DLT会合では、様々な業界に共通な水平関連の優先度の高い課題として、データアクセス制御、セキュリティおよびID管理が注目されました。FG会合への入力文書は38件、参加者は80名を超え、業界固有の垂直関連の課題に関心のある、通信事業者、フィンテック、エネルギー、サプライチェーン管理などの関係者が含まれていました。

 第1回FG-DLT会合では、以下の5つの作業グループ(WG)が設立されました。

WG1 「State of Art」(WGリーダ:Mr. Abbie Barbir (Aetna、米国): DLTエコシステムの基礎概念と関連用語と定義の検討。

WG2 「アプリケーションとサービス」(WGリーダ:Mr. Maxim Grigoriev (Central Bank of Rissia、ロシア): DLTをベースとしたユースケース分析と、各ユースケースで必要とされるDLT機能の抽出。ユースケースに対して、DLTを適用することで得られる競争優位性や標準化の意義を明らかにする。

WG3 「技術参照フレームワーク」(WGリーダ:Mr. Wei Kai (中国): DLTのアーキテクチャと相互運用性についての検討。具体的には、既存のDLTプラットフォームを基盤となるアーキテクチャフレームワークにマッピングする、高度な技術参照フレームワークを抽象化することを目標。DLTプラットフォームを評価するための基準と方法を開発。

WG4 「ポリシー参照フレームワーク」(WGリーダ:Mr. Alexander Chuburkov (Fintech Association、ロシア): DLTのポリシーと規制の側面、およびDLTベースのアプリケーションの採用に関する制約について検討。具体的には、DLTのガバナンス、監査性、トレーサビリティ、プライバシーおよび法的遵守性などの側面、ならびにデータ保護規制などの法的枠組みの遵守について検討。 対象となるポリシー参照フレームワークは、既存のDLTプラットフォームをポリシーおよび規制上の考慮事項との関係として示す。

 また今後、WG5として、他のグループと協力して作業を統合し、DLTベースのアプリケーションおよびサービスの採用をサポートするための標準ロードマップの作製を目指す予定です。DLTの標準化に関して他の標準化機関としては、ISO TC307で進められており、今後の連携が重要ですが、DLTを使ったサービス・アプリケーションレベルでの相互接続を考慮した構築と安定的な運用活動については、情報通信分野としてITU-Tにとっても大きく関連するものとして認識されています。

 FG会合には誰でも参加が可能で、特定の戦略的に重要な課題について、できるだけ多くの関係者からのインプットを収集し、ITU-Tの標準化検討を行う研究グループ(SG: Study Group)に対して、国際標準化活動を促進するための基礎文書を提供することを目標にしています。

 ブロックチェーンなどの分散型元帳技術は、ITUの標準化作業プログラムに急速に移行しており、ITU-TのSG13(将来ネットワーク)、SG16(マルチメディア)、SG17(セキュリティ)、SG20(IoTとスマートシティ)で研究されています。特にSG17は、DLTのセキュリティ側面の研究に強い意欲を示しており、DLTセキュリティに関する7つの勧告草案に関する作業を調整するために、新たに課題14/17を設立しました。FGは、関連するITU-TのSGと連携するとともに、前にも述べましたがISO / TC307などのDLT標準化要求を調査している他の団体とも密接に協力していく予定です。

 FG-DLTの次回会合は2018年の1月下旬(中国)か2月初旬(スイス)、と5月(ロシア)の開催が予定されており、TTCとして動向把握に努めていくとともに、TTCメンバーのFG-DLTへの積極的な参加が期待されます。

 TTCでは、ブロックチェーン技術に代表される分散元帳技術のネットワークにおける応用に関心を持っており、ビットコイン等の金融分野だけでなく、改ざん困難性、トレーサビリティ等の特性から、流通、製造、医療、通信等様々な分野での活用が期待されています。これらのユースケースへの適用と技術課題への理解を深めるため、TTCでは以下の勉強会とセミナーを企画しております。

 勉強会の講演内容については、講師のご協力を得まして、TTC会員向けに解説ビデオとして公開します(勉強会第1回は公開済)。

 また、TTCでは、ブロックチェーン技術の特にセキュリティ関連の課題に今後取り組んでいく予定であり、本課題を専門に扱うグループを構築していく予定であり、11月中の案内ができるように準備をしています。関連専門委員会への幅広い分野からの専門家の参加を期待しています。

 


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