マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

新年のご挨拶

 あけましておめでとうございます。初日の出と末広がりの象徴である富士山の雄姿を拝みながら2016年の皆様のご繁栄をお祈り申し上げます。昨年中は、皆様の格別のご厚情を賜り、TTC創設30周年を無事迎えることができました。ここに改めて厚く御礼を申し上げます。

 2016年は干支の十干十二支で「丙申(ひのえさる)」となり、十二支としては動物の名前を割り当て「申年」(さる)と呼ばれますが、「猿年」とは書かないように本来の動物の「猿」には由来していないようです。「申」は、天の神が発する稲妻を表すと言われ「電」の原字であり、我々の携わる「電」気通信には縁が深く意義深い年となる予感がします。

 TTCは1985年の発足以降、通信自由化によるマルチキャリア相互接続、インターネット・モバイルの飛躍的発展、通信のグローバル化といった大きな転換期に亘り、情報通信(ICT)ネットワークの発展に関わってきました。昨年は、「IoT(Internet of Things)」や「5Gモバイル」に関する検討が国内外でスタートし、2020年およびそれ以降のネットワークを睨んだ特に大きな転換期を感じさせる年でした。IoTについては、TTCはM2M(Machine to Machine)通信プラットフォームを標準化するグローバルなプロジェクト「oneM2M」に2012年の発足時より参加し、oneM2Mリリース1仕様書の発行やITU-TのSG20新設に貢献してきました。次世代モバイルについては、有線系技術によりモバイルネットワークの構築に貢献する観点から、2014年より2020年以降のモバイルネットワーキングを検討するグループを立ち上げ、ホワイトペーパーの公開、5GMFとの連携、3GPPやITU-Tへの提案活動を行ってきました。

 2016年は、ネットワークのソフトウェアライゼーション、コンテンツ指向型ネットワーク、エッジコンピューティング等の新技術に基づく新しい概念の議論が本格化されることでしょう。また、2016年は、ITU-Tにおいて4年に一度の世界電気通信標準化総会(WTSA)が開催され、2020年までの新研究会期の標準化課題と検討体制等が決定され、グローバルレベルの標準化検討が本格化する年と位置付けています。TTCは、これらの新しい潮流を捉え、会員の事業展開や我が国の国際競争力の向上に貢献できるよう努力したいと思っております。

TTCは、IoTを支えるICT技術を活用し、ICTによるビジネス拡大を図るための仲間づくりと標準化活動に積極的に取り組んでいきます。スマートカーやEヘルスなど様々なサービスにおける安心・安全やネットワークの安定運用に関する標準化課題の検討推進の役割を果たしていきたいと考えています。ネットワークインフラのセキュリティ・トラスト、環境保護、防災をはじめ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えた情報アクセシビリティ関連の標準化への取組強化が必要と考えています。

 また、TTCは、ICTの利活用を通じてインダストリー・インターネット等の様々な産業に新たなイノベーションを創造しようという大きな期待の中で、産学官連携、関連団体との連携・協調の他、中小企業やベンチャー企業等の色々な方々が集まり、仲間作りや情報収集に活用して頂ける場を提供できるように努力していきたいと考えています。

 2016年は、国際標準化機関のITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)にとって、その前身である国際電信電話諮問委員会(CCITT)が1956年に設置されてから60年という還暦の年に当たります。ITU-TはTTCがアップストリーム活動を推進する標準化機関であり、TTCとしてITU-Tの還暦を祝うイベントを企画したいと考えています。

 TTCは、ICT分野において日本標準を策定する標準化機関として、APT(アジア・太平洋電気通信共同体)やGSC(世界電気通信標準化協調機構)を活用した標準化によるグローバル展開についても推進していきます。

 標準化の推進と普及活動を通じ、情報通信分野の発展、我が国の国際競争力の向上に本年も最善を尽くして参ります。皆様のご健勝とご多幸をお祈りするとともに、皆様のより一層のご支援ご指導の程、宜しくお願い申し上げます。