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マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

日中韓の標準化連携:第14回CJK標準化会合の日本開催速報

 日本、中国、韓国の3カ国間の情報通信に関する標準化機関の協調関係であるCJK標準化会合(CJK IT Standards Meeting、以下CJK会合)の第14回会合が、5月10日から13日に、日本(ARIBとTTCとの合同ホスト)の北海道(新札幌)のホテルEmisiaで開催されました。今回のホストの役割では、会場設営とイベント運営はARIB、プレナリーなどの会議運営はTTCの分担で実施し、無事終了することが出来ました。私はTTC代表HoD(Head of Delegation)として参加しました。

 CJK会合は、3カ国間のMoU(Memorandum of Understanding:覚書)に基づき、それぞれの国の情報通信分野の標準化機関 (SDOs : Standards Development Organizations) が各国の窓口(中国はCCSA、韓国はTTA、日本はARIBとTTC)となり、2002年6月からおよそ年一回のペースで、3カ国で 順番にホストを持ち回り開催してきており、今回が14回目となりました。

 今回のCJK会合の参加者は、各機関からそれぞれ20名程度で、総数は80名になりました。プレナリー議長には、TTCの標準化会議議長の森田直孝氏にお願いしました。CJK会合は、複雑な政治状況の中で、標準化を通じて、日中韓で自由に意見交換ができる貴重な国際連携の枠組みであると認識されており、特に、HoDレベルでの意見交換の場として、今後も継続していくことを再確認しました。

 また、今回のCJK会合でのHoD会合では、札幌に集まったCJKのHoD全員とジュネーブにおられるITU-Tの事務局長(Chaesub Lee氏)とITU-Rの事務局長(Francois Rancy氏)との電話会議を実施し、IMT-2020/5G課題とIoT/M2M課題について、ITUでの標準化活動においてCJKとして連携して協力していくことを確認しました。この合同会合は、2012年に締結したCJKとITUとの協力に関する覚書に基づくもので、ITUの両事務局長の参加が期待されましたが、ジュネーブでのITUの理事会開催期間と重なり、電話会議での遠隔参加となりました。

 個別の技術課題については、各々の作業部会(WG:Working Group)で情報交換を中心に議論されました。詳細結果は今後TTCレポートなどで報告される予定ですが、以下が主な結果です。

(1) IMT-WG: IMT(International Mobile Telecommunication:次世代移動通信システム)はARIBの担当課題ですが、IMT-2020/5Gに関して、ITU-R SG5 WP5D会合に向けて共同して寄書を検討していく方針を合意しました。

(2) IoT-WG: IoTに関するWGの検討課題を拡張し、IMT-2020のネットワーク側面やインダストリアルインターネットに関連する課題を含めることを合意しました。IoT-WGの名称については、NSA(Network and Service Architecture)-WGに変更することにしました。また、IMT-2020/5Gに関して、無線課題を扱うIMT-WGとの連携を図っていくことが認識されました。

(3) IS-WG: セキュリティを扱うIS-WG(Information Security WG)はITU-T SG17会合に対して、IoTセキュリティに関して協調連携を図ることを合意しました。

(4) WPT-WG:無線での電力伝送(Wireless Power Transmission)を扱うWPT-WGは日本ではARIBの担当課題ですが、テクニカルレポートの第三版を完成し、プレナリーで承認されました。このレポートはITU-R SG1 WP1A会合にCJKの共同提案の情報として活用される予定です。

 今回のCJK会合でのレセプションでは、ARIB創立20周年とTTCの創立30周年を記念した企画として案内させていただきましたが、CCSAとTTAからはそれぞれ本国から記念品を用意してきていただき、ARIB、TTCにそれぞれ贈呈されました。ARIBとTTCからは合同で記念品を贈呈させていただきました。3カ国間の友好の印として大切にしたいと思います。

次回の第15回CJK会合は、中国CCSAのホストで、2016年の7/8月の辺りに中国の青海省の省都、西寧市(せいねいし、英語名:Xining)で開催する予定です。