マエダブログ

マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

ITU Kaleidoscope 2013国際会議は成功裏に終わる

 昨年の4月26日12月20日のブログで報告しましたITU Kaleidoscope Academic Conference 2013 (K-2013)の日本開催が、4月22日〜25日の期間に京都大学 百周年時計台記念館(写真1)において、1年間の準備期間を経て、無事に終わることができました。例年になく早い桜の開花で、満開の桜の中で海外からのお客様を迎えることはできませんでしたが、その代わりに、新緑の葉桜がフレッシュな春の香りを放ち、新鮮な魅力を気づかせてくれました。今回のKaleidoscopeイベントは、論文選考で選ばれた30件の論文による3日間の論文発表会と、標準化教育に関する議論を行う1日間のワークショップで構成されました。今回のブログでは、発表会の模様を速報させていただきます。なお、今回の会議報告としては、日本ITU協会が発行する「ITUジャーナル」で紹介される予定ですのでご期待下さい。

写真1 京都大学 百周年時計台記念館において
写真1 京都大学 百周年時計台記念館において

 今回で第五回の開催を迎えるKaleidoscope会議の背景や歴史については、前回のブログを参考にしていただきたいと思いますが、私は、ITU-TのSG15議長を担当する傍らで、ITUとアカデミアとの連携を強化するITU-Tの企画に共鳴し、Kaleidoscope会議の立ち上げに関わってきました。2008年の第一回会議(スイス開催)から2010年の第三回会議(インド開催)について、Kaleidoscope会議の総合議長を勤め、その後も企画運営に関わってきたことから、この会議を一度は日本に誘致し、日本の大学や研究機関のアカデミア関係者と標準化の専門家との交流の場を実現したいと思っていました。

  この会議を開催するために、ITU側の運営委員会メンバーとITUが募集したスポンサー企業・団体に加え、日本における開催運営を推進するために、総務省をはじめ、NICT、NTT、KDDI、HITACHI、OKI、FUJITSU 、MITSUBISHI、NEC、ITU-AJ、TTCの関係者で構成する日本開催支援委員会を立ち上げていただき、運営稼働または資金の支援をいただきました。また、ワークショップの企画では電子情報通信学会のご協力を得ました。開催会場としては、海外からの人気が高い春の京都と大学とのつながりを求め、京都大学にホストとなっていただき、実現することができました。

  本会議への実際の参加者は20ヶ国から180名を記録し、加えて、GoToMeetingという遠隔での会議参加も実現しました。会議のオープニングは、ホスト委員会委員長の京都大学高橋達郎教授の司会で、今回の総合議長である京都大学松本紘総長のご挨拶で始まり(写真2)、ITU-Tジョンソン局長と総務省布施田英生通信規格課長のご挨拶が行われました。

 写真2  京都大学松本紘総長のご挨拶
写真2 京都大学松本紘総長のご挨拶

 今回のKaleidoscope会議のテーマは「Building Sustainable Communities;持続可能な社会の構築」で、将来のネットワーク技術やサービスに関する議論だけではなく、社会経済学や文化、倫理などの観点から幅広い分野での論文発表が行われました。本会議の論文募集には35ヶ国から99件の論文応募があり、その中から査読評価点の高い論文30件が発表の機会を得ました。その選考論文のうちの12件はポスターセッションでの発表となりました。本会議の特徴として、選考論文のうち査読で評価の高い論文(8件)の中から、当日の発表内容の評価を加味して最優秀論文を表彰選考委員会が決定します。第三位までの受賞者に奨学賞金が授与されますが、今回の第一位は日本の慶応の学生である桜井美穂子さんが受賞(5,000ドル)されました(写真3)。おめでとうございました。

写真3  最優秀論文賞受賞
写真3 最優秀論文賞受賞

最優秀論文賞を受賞された方は以下の3名です。

  • 【第一位】 Sustaining life during the early stages of disaster relief with a Frugal Information System: Learning from the Great East Japan Earthquake.
    Mihoko Sakurai, Jiro Kokuryo (Keio University, Japan); Richard Watson (University of Georgia, USA); Chon Abraham (College of William and Mary, USA)
  • 【第二位】 Telebiometric Information Security and Safety Management.
    Phillip H Griffin (Booz Allen Hamilton, USA)
  • 【第三位】 Innovation Management of Electrical Vehicle Charging Infrastructure Standards in the Sino-European Context. 
    Martina Gerst, XudongGao (Tsinghua University, P.R. China)

  30件の選考論文のうち日本からの論文が11件も含まれ、日本からの論文は、質の高さを示すと共に、本会議への貢献が評価されました。これらの優秀論文に加え、基調講演や招待論文については、優先的にIEEEのCommunication Magazineに掲載されるという特典も得られます。また、論文の中で、現役学生が著者の論文に対して「若手論文著者賞」が授与されました。発表のプログラムおよび講演資料はITU-Tのウェブサイトから入手できますので、ご参考にしていただければと思います。

  プログラムには、2件の基調講演と3件の招待論文が含まれますが、東京大学中尾彰宏准教授による基調講演で提案された「Deeply Programmable Network」については、今後の主要な標準化課題であるSDN(Software Defined Networking)に関連する提案として注目される課題と考えられます。TTCでのNGN&FG専門委員会での詳細議論が行われることを期待しています。

  ・Deeply Programmable Network; Emerging Technologies for Network Virtualization and Software Defined Network (SDN) - Akihiro Nakao (Tokyo University, Japan)

  最後に、参加者に好評だった歓迎レセプションの模様を紹介します。京都は「都をどり」の季節で、レセプションは京都大学の教室を会場として、舞妓さんと芸妓さんをお呼びして京舞を楽しんでいただきました(写真4)。その中で、450年前の八坂神社にあった茶屋が起源となる舞妓さんの歴史や、髪型、簪、着物と帯の基礎知識の紹介もあり、外国のお客様だけではなく、我々日本人にとっても京都の歴史と文化を学ぶ機会となりました。

  会議の閉会式では、ITU-T局長のジョンソン局長からは、会場の設備と運営、論文の質、サイドイベントとしてのショーケース(展示会)企画写真5)、レセプションの内容において、今までの会議の中で一番の会議であったと高い評価をいただくことができました。ITU-TのKaleidoscope運営委員会を代表して、日本の関係者の皆様のご支援とご協力に対して、心から御礼を申し上げます。

写真4 舞妓さんと芸妓さん
写真4 舞妓さんと芸妓さん
写真5  ショーケース(展示会)企画
写真5 ショーケース(展示会)企画