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マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

マレーシアMTSFBとのMoU調印式を終えて

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 10月11日(火)から10月13日(木)まで、マレーシアの標準化組織である技術標準フォーラム(MTSFB : MALAYSIAN TECHNICAL STANDARDS FORUM BHD):http://www.mtsfb.org.my/)とTTCとの標準化連携のための覚書(MoU:Memorandum of Understanding)の調印のためにクアラルンプールに出張しました。

 MTSFBは、マレーシア政府機関であるマルチメディア通信委員会(the Malaysian Communications and Multimedia Commission (SKMM))に認定された非営利組織です。SKMMはマレーシアの国内通信規制当局に相当し、電気通信だけでなく放送やオンラインマルチメディア通信を統合するための規制の枠組みを検討する役割を担っています。MTSFBはそのSKMMの監督の下で、マレーシア国内の標準化、技術規格、ネットワーク相互接続と運用仕様の確立と管理に関する責任を持っています。

 TTCでは、標準化を通じたアジア諸国との国際連携の強化を推進しており、普及推進プロジェクトと連携した標準化技術に関する支援と共同検討を行なっています。TTCの標準化の経験とノウハウをアジア諸国に提供すると共に、人的な技術交流を図ることにより、アジアでの新たなビジネスチャンスの創造に寄与することを目指しています。TTCでは今までにアジア諸国の中で、タイのNGNフォーラム、インドのGISFI(The Global ICT Standardization Forum for India)と覚書を締結し、そして今回がマレーシアのMTSFBです。

 今回の覚書は、MTSFBとTTCとの間での協調連携を推進するためのルールとそれぞれの組織の役割を明確にしたものです。この覚書の実現に向けては、普及推進委員会を中心に、個別の交流案件を通じて人的なチャネルを築いてきており、今回の正式な締結は、相互交流開始のきっかけではなく、本格的な検討開始を意味するものと言えるでしょう。

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 MTSFBとTTCの覚書の調印式は、10月12日(水)の朝、クアラルンプール郊外南部のハイテク工業団地の中核となるCyberjaya地域にあるSKMMの本部において、地元の政府関係者とMTSFBの会員50名以上の参加の中で行いました。調印は、SKMMの幹部の立会いの下、MTSFB会長のIsmail Osman氏とTTCは前田の署名交換により行いました。

 調印式の機会を活用し、MoUに基づくイベント企画となる「標準化セミナ」を開催しました。今回のセミナは、MTSFBからの要望を踏まえ、「標準化の重要性とスマートでグリーンなICT社会への変革」をトピックとし、TTCが講師を担当しました。招待講演者として、私と今中秀郎さん(NTT)、横谷哲也さん(三菱電機)の3名で、発表を行い、参加者との意見交換を行いました。

 MTSFB会長のOsman氏との会談では、MTSFBは標準化組織としてはこれから立ち上がるところであり、TTCの標準化に関する経験とノウハウも基にした指導を期待されました。日本とマレーシアとの間には、マハティール首相の時代にマルチメディア関連の先端技術で交流が行われ、日本企業の貢献も大きかったわけではあるが、近年は、ICT関連の装置に関しては、欧州の大手ベンダが入り込むと共に、中国ベンダが台頭してきており、日本ベンダの顔が見えにくくなっているという厳しいコメントも耳にしました。

 マレーシア国民は大変に親日的でありますが、今後、如何に日本をアピールしていくかは大きな課題であり、今後の標準化を通じた交流が功を奏することを期待するところです。また、彼らが何を望んでいるかの把握も重要であり、TTCが業際イノベーション本部(I3C)を中心に新しい枠組みの構築に取り組んでいるという説明に対して、マレーシアでの現在の標準化に関するキーワードは「スマート」であるというのが回答であり、スマートネットワークの構築とICT技術によるグリーンな社会への貢献が共通のテーマとなるでしょう。

 最後の写真は、クアラルンプール市内のシンボル的なペトロナス・ツインタワービル(高さ452m)で、調印式の前と後のツインタワーの昼夜の光景で、宿泊ホテルから撮影したものです。そして、クアラルンプールに二泊三日で帰国しました。