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マエダブログ TTC専務理事・前田洋一のTTCよもやま話

ジュネーブでの出会い;2011年2月のこと - TTCの国際連携強化に向けて -

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 ITU-TのTSAG会合と私がSG議長を務めるSG15会合への参加のため、2月6日から3週間、ジュネーブのITU本部に来ております。
   年末、年始は大雪に見舞われたというジュネーブですが、この滞在中は、雪もなく、時折春を感じさせる天気の日もありますが、雲がかかるとやはり冷えますね。2月20日のジュネーブの天気は曇り、気温5度。市内の週末の冬景色をお送りします。 もなく、時折春を感じさせる天気の日もありますが、雲がかかるとやはり冷えますね。2月20日のジュネーブの天気は曇り、気温5度。市内の週末の冬景色をお送りします。

 花時計はジュネーブのレマン湖畔にあるイギリス公園のシンボルです。週末のジュネーブの旧市街は人通りもなく静かです。

 TTCでは現在、平成23年度の事業計画策定の最終調整段階を迎えていますが、その計画案の中で「国際連携の強化」を謳っています。その具体的な実現を図るための環境つくりのために、ジュネーブ出張の機会を活用して、ITU事務総局次長ハウリン・ザオHoulin Zhao(中国)氏、ITU-Tの局長のマルコム・ジョンソンMalcolm Johnson(英)氏とそれぞれ会談する機会を得ました。また、インドの新しい標準化組織GISFI(The Global Standardisation Forum for Indi;www.gisfi.org)のラムジー・プラサド委員長が、TSAG会合に初めて出席されていましたので、昨年12月のインドで開催のカレイドスコープ会議でお世話になったお礼も兼ねて、個別の打ち合わせを持つ機会を得ました。

 組織の前に、ヒューマンコミュニケーションが大切ですが、今までのSG議長としての立場に加えて、TTCの看板を活用できた出会いと言えるでしょう。

 今回のブログの内容は、ジュネーブでの出会いから、今後、TTCの皆さんに議論いただいて具体化を図る「TTCの国際連携への取り組み」に関するものです。これらのつながりで、TTCの標準化組織としての付加価値を高め、国際的な位置づけを持ち上げることができればと思っております。

 まず、ジョンソン局長とは、近年のITUにおけるCJK(中国、日本、韓国)の存在感は目を見張るものがあるという認識の上で、ITUの価値を高め、CJKの意見を反映しやすくするために、ITUとしてCJKの活動を支援し、効率的な連携強化を図る枠組みが構築できれば望ましい、という点で意見が一致しました。

 ザオ事務総局次長との話は、ザオ氏がITU-Tの局長時代から秘書をされているリリアンさんにご挨拶に伺った際に、ザオさんが話したいことがある、ということで面会をすることになりました。ザオ次長からは、「ITUにおいて、CJKの貢献度と影響力は高まりつつあるが、国際会議の場での交渉の仕方、姿勢にはまだまだ改善を図らなければいけない点が多くある、また、ETSIなどとのバランス維持の点でアジア連携を強化することが望ましいのではないか」、という指摘がありました。

 また、ザオ事務総局次長からは、「CJKで一番経験がある日本がCJKの中で指導的役割を果たすとともに、CJKをよりパワフルにするためにITUとの連携を強化する取り組みに期待している」、と激励されました。ジョンソン局長との話で挙がったITUとCJKとの関係強化という点で共通の認識は、ITU幹部間で既に共有されているのだな、と感じた次第です。

 インドのプラサド氏とは、前回のブログで紹介しましたカレイドスコープ国際会議のインド開催誘致交渉の経緯で、会議議長であった私とホスト側の責任者としての関係があり、今回のTSAG会合期間中に、プラサド氏から「GISFIはインドの正式な国内標準化機関として認められており、標準化検討課題も無線関係のみでなく有線系システムやサービス関連の標準化も扱う計画である。標準化組織としてはまだ立ち上がるところであるが、TTCの経験を学ぶことを含め、TTCとの連携を築きたい。またアジア連携としてのCJK会合にも興味がある」という申し出がありました。

 プラサド氏によれば、現在、GISFIと日本のARIBは協力協定を結んでおり、この関係を参考に、TTCとも協調関係を構築したい、という意向でした。

 TTCとしては、将来のインド市場とのビジネス的な繋がりに日本の企業は関心が高く、ICT分野での国際連携活動の一環としてGISFIとの連携を構築することは有益であろうから、具体的な検討を開始していきたいと思います。

 TTCでは、国際連携AGの皆さんを中心に今後の進め方をご検討いただく予定です。

 また、ジュネーブでいただいた提案について、今後、CJKで議論する場も作らなければいけません。幸いにも、4月20日~22日に札幌でCJKの第五回会合の開催が予定されていますので、その場を利用して今後の対処方針を固められればと思っています。

 今後のTTCの国際連携について、皆さんのご意見をお待ちしています。

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 最後の写真は、2月18日の昼休み、私のSG議長室への突然の訪問者との記念写真です。

 写真右端は2004年までSG15議長を務めていたピーター・ウェアリ氏(カナダ)、中央は2008年までSG16議長を務めていたピエール-アンドレ・プロブス氏(スイス)で、いずれも二十年以上のITU-Tでの標準化の仲間であり、SG議長としての大先輩です。ウェアリ氏は、スイスに嫁いだ娘さん家族に会うために旅行中で、7年ぶりのジュネーブ訪問ということでした。その機会に、スイス在住の旧友プロブス氏を訪ね、そのついでに、サプライズでITUの会議場を訪れてくれました。

 彼らは1980年代から2000年初めにかけ、ITU―Tの標準化活動に関わった方には懐かしいお二人かと思います。ウェアリ氏からは、旧友である井上友二さん(トヨタIT開発センター会長)、岡村治男さん(日本ITU協会特別顧問)をはじめ、日本の皆さんによろしく、とのメッセージがありました。

 お二人とも現役を引退され、時間に拘束されることのない自由を満喫されており、とてもお元気であったことを付け加えておきます。この出会いが、また新しい次の出会いのきっかけとなる予感がします。